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Challenge+(チャレンジプラス)

巻頭企画天馬空を行く

「経験値への投資という意味で、
『挑戦することは未来への投資になる』
と私は思っています」

 

個人も会社も挑戦なくして成長はない


 
 
ぜんそくや腰痛などの持病を抱え、また大柄な選手が有利といわれるスピードスケート界において、小柄な体格ながら数々の偉大な記録を打ち立てたアスリート時代からその後のセカンドキャリアまで、清水氏の人生は挑戦の連続だったはずだ。『プレッシャーを味方にする心の持ち方』の中でも「人生にはトライが不可欠」と書いている同氏に、「挑戦することの意義」について語ってもらった。

「金銭面というよりは経験値への投資という意味で、『挑戦することは未来への投資になる』というのが私の持論なんです。起業家のスティーブ・ジョブズも同じようなことを話していましたが、点と点がつながると線になりますよね。『点』というのは要するに経験のことであり、まずはその点をつくらないと線は生まれません。こうして口にすると当たり前のように思えますが、年齢を重ねるとともに、点をつくり、その点と点を結ぶことの重要性を強く実感するようになりました。私は休学を含めると弘前大学大学院医学研究科博士課程に約 8年間在学し、2023年にようやく卒業することができたんです。そこで学んだことはいま当社が取り組もうとしていることと非常にマッチしていますし、スタッフへの教育にも生かせています。8年もかかったけれど、本当に良い経験になったな、と。まさに点と点がつながって線が生まれることのダイナミズムを感じている次第です。他方で、今の若い世代には、例え頭ではそのことを理解できても、実際には行動に移さない人が多いような印象を受けます。スマートフォンやSNSで何かを調べるだけで満足してしまい、そもそも点をつくろうとさえしない。現在はコロナ禍で人と接するのが難しい時期ではありますが、いくら時間がかかったとしても私は絶対に行動を起こしたほうがいいし、いろいろなことに挑戦すべきだと思っています。それは個人も会社も同じです。創業当初から万事うまくいく企業も中にはあるかもしれませんが、大半の企業は時間をかけて準備をして成長するもの。挑戦をするための準備力もまた、必要不可欠だと感じています」
 

健康案内人としての役割を果たしていく

医療技術の進展に伴って平均寿命が延伸し、「人生100年時代」が到来したとされている現代社会。その意味で、現在49歳の清水氏は人生の折り返し地点に近づいているとも言える。最後の質問として、地元の北海道で“高齢者ビジネス”実業家として活動する同氏に、この先のビジョンについて聞いてみた。

「50代が目前に迫ってくると、だんだん興味関心が自分の健康に向いてくるんです。それに伴い、『精力的に仕事ができるのは、あと10年くらいだな』という気持ちにもなります。もちろん、いま20代や30代の人たちはまだそんなことは考えないはずですが、当社はヘルスケア産業の会社ですから、彼らにもやがてそのような時期がくるのだということは伝えたいですね。老いは人間である限り避けられませんから。また、今後はコロナ禍で需要が高まっているオンライントレーニング配信などの新事業に着手したり、スタッフが待遇の良い環境で働ける介護施設をつくったりするビジョンもあるんです。若者の間で生活習慣病が増加している昨今の時代状況も踏まえながら、健康案内人としての役割をしっかり果たしていきたいと思っています」

(取材:2023年2月)
取材 / 文:徳永 隆宏
写真:内田 大介

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