巻頭企画天馬空を行く
不断の努力は成功へとつながる
大橋社長は新規事業「ライフメイクパートナーズ」に取り組み、「人生100年時代を豊かに暮らせるように」と老後まで見据えたライフプランを提案している。一方、大橋会長はジムでキッズボクサーを指導し、子どもから女性、シニアまで幅広い層の方にボクシングを楽しんでもらえるようにエアーボクシングも考案した。このように長いスパンで人生をとらえている2人に座右の銘について聞いてみたところ、同じ答えが返ってきた。
大橋(秀) 私は「努力」ですね。今の時代にはあまりはやらないですし、若者に嫌われがちな、いわば「昭和の言葉」ですが、努力は絶対に裏切りません。努力すれば世界チャンピオンになれるという保証はありませんが、まず努力しないと絶対に世界チャンピオンにはなれませんから。努力や根性は生きるうえで欠かせないものだと私は思います。
大橋(孝) 私も同じく「努力」ですね。これまでの人生を振り返っても、努力することを忘れてしまうと終わりだと実感しています。今でも努力を怠らないよう常に自分に言い聞かせていますね。もう1つ付け加えるならば、「覚悟」でしょうか。覚悟を決めて努力をする――それこそが何よりも大事だと思います。
重要なのは覚悟を決めて行動すること
大橋会長は同書で「今も負けっぱなしの人生。特に交渉事などは連戦連敗といっていいほど」と書いており、大橋社長は「ライフメイクパートナーズ」を構築するまでの3年間、試行錯誤を繰り返してきたという。そんな両氏に、物事がうまくいかない時の対処法について教えてもらった。
大橋(孝) 物事がうまくいっていない時というのは、往々にして自分が動けていない時なんですよね。行動しないで頭の中だけであれこれ逡巡していることが多い。ところが思い切って動いてみると、いろいろな問題が解消していくものなんですよ。迷っていないで実際に行動してみると、難題と思っていたことも意外と簡単に突破できるものなんです。ですから私からのメッセージは、「うまくいかない時は覚悟を決めてまず行動すること」になりますね。
大橋(秀) もしかしたらイメージとは異なるかもしれませんが、私は今でも仕事で「負ける」ことが多いんです。そもそもボクシングでは「勝ちっぱなし」ということはありません。絶対に負ける時がきますから。その際に、何を学ぶかが重要だと思っています。井上尚弥だって無敗ではなく、19歳の時には試合に負けてオリンピックに出場できませんでした。今では「怪物」と呼ばれるあの尚弥でさえ、敗北から立ち上がって盛り返してきたんです。負けたり、うまくいかなかったりという経験をすることは人生においてすごく大事で、それをバネにして次の一歩を踏み出せるかどうかで差が出るのだと感じています。私自身、これまで何度も敗北を味わい、それを教訓にして人生を歩んできました。逆に大きな負けを喫した時には、「次こそすごくいいことがあるぞ」と思えるようになりましたね。
人々を幸せにした数で不動産王を目指す
言葉の端々から、お互いに対する尊敬の念や厚い信頼関係、混迷する時代に生きる人々への熱いメッセージが伝わってきたこの対談の最後に、両氏が抱く今後のビジョンについてそれぞれ語ってもらった。
大橋(孝) 私は不動産王になることですね(笑)。といってもドナルド・トランプ前米大統領のように「不動産で誰よりももうけたい」というものではなく、不動産を通して、全国に「人生100年時代の本当の幸せ」というものを届けたいんです。願わくは、人々を幸せにした総量で不動産王になりたい、そんなふうに感じています。さらには当社に関わるエンターテインメント――例えばボクシングの選手たちが安心して競技に打ち込めるように、彼らのセカンドキャリアを充実させていくお手伝いができると非常に嬉しいですね。
大橋(秀) これまでヨネクラボクシングジムからは、ガッツ石松、柴田国明、中島成雄、川島郭志、そして私という5人の世界チャンピオンが誕生しました。他方、現時点で当ジムからは女性選手を除くと4人の世界チャンピオンが出ている。尊敬してやまない米倉会長のヨネクラボクシングジムを超える6人の世界チャンピオンを輩出したい――それが今の私の最大の目標です。
(取材:2021年9月)
取材 / 文:徳永 隆宏
写真:竹内 洋平
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