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Challenge+(チャレンジプラス)

巻頭企画天馬空を行く

再びユニフォームを着て球場へ

師に恵まれ、後進への思いも熱い井口氏。今後目指すべきは、やはり指導の側に立つことだと話す。

「若手をもっと指導したいし、育てたいですね。そして、優秀な選手たちをたくさんメジャーの舞台に送り出し、その活躍を見てみたいです。ちなみに、自分はショートでメジャーに行けなかったので、特にメジャーで通用するショートの日本人選手を育てたいという思いはあります。
 引退後に監督としてユニフォームを着られるのは、日本だと12人だけ。まずはそこを目標に、最終的には、メジャーで監督をしてみたいですね。その夢を実現できるくらい、しっかり勉強していくつもりです。そしていつか、全員が同じ方向を向いていて、『この監督を絶対に胴上げさせないといけない』とみんなが思うような・・・そんな理想的なチームづくりをしたいですね」

最後に、21年間のプロ野球選手としてのキャリアに区切りを付けるタイミングで、これまでを振り返って頂いた。

「プロ入りした時から、2000本を達成して40歳まで続けたい、という目標がありました。その目標は全てクリアできましたし、自分の経験としてはアメリカに行ってプレーし、ワールドシリーズも制覇できました。だから、ほとんど満足ですね。数年前から、2017年で辞めることは決めていて、自分の中でカウントダウンしていましたから、引退の寂しさというものはありません。むしろ、次のことのほうが楽しみです。
 ただ、テレビの野球中継とかはあまり見たくないんですよね。昔、一軍の試合に出られなかった時も悔しくて見たくなかったですけど、今はまた違う気持ちで。だって、野球が好きなので。試合を見ていたら自分もやりたくなるじゃないですか(笑)」

井口氏への取材から10日後の9月24日、満員札止めの千葉ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムで氏の引退試合となる北海道日本ハムファイターズ戦が行われた。1対3と2点ビハインドで迎えた9回、氏の放った劇的な同点2ランで自ら延長戦に持ち込み、チームは延長12回、キャプテン・鈴木大地選手のヒットでサヨナラ勝ち─まさしく有終の美を飾った。これから先、野球を愛し、野球に愛された氏が、日本のプロ野球界、そしてメジャーリーグにて、再びユニフォーム姿で大活躍してくれるその日が、楽しみでならない。

(取材:2017年9月)

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