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Challenge+(チャレンジプラス)

巻頭企画天馬空を行く

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サービスを拡大すること
それがLCCの醍醐味だ

20130701_tenma-ex-01航空業界を古くから知る人にとって、ジェットスター・ジャパン(株)の快進撃は予想外だったのではないだろうか。「本当にうけるのか?長年続けてきたJALやANAのほうが信頼されているだろうし、シェアを獲得するのは難しいのでは?」。そのような意見が少数派ではなかったことは事実だろう。だが消費者は気付いた。「安かろう悪かろうではない」と。潜在利用者に対し、最低価格保証(他社が自社よりも安い金額で運航している便があれば、その価格よりもさらに10%カットした価格に運賃を設定)という価格設定を徹底することで顧客に対する「約束」を行った。そして、LCCだからこそできる新サービスの拡大で「便利」を保証した。

「LCCはサービスをカットしていると見られがちですが、実はその真逆です。確かに無料オプションの機内サービスはできるだけカットしています。しかし、それは考え方を変えると、『安くなったぶん、有料サービスの幅を広げ、お客様の選択肢を広げている』と我々は解釈しているのです。無料サービスで提供されるドリンク類やフードはその種類が限定されがちですが、弊社はドリンクだけでも20種類からセレクトできます。今後はもっと増やしたり、人気によって新製品に代わったりする新陳代謝が頻繁に行われるでしょう。運賃を安くしたぶん、お客様が好きなサービスにお金を充てることができる。将来的にはフードやドリンクのほかに、機内でiPadを使ったエンターテインメントコンテンツを提供したり、時間帯によっては必ずしもアクセスが良いとは言えない成田空港に向けて東京都内からシャトルバスを走らせるといった新しいサービスを取り入れることなども実現させていきたいと考えています」
LCCはサービスを削っているのではなく、自由度を高めつつサービスを拡大し、利用客の選択肢を広げている。このラテラルな考え方は大変興味深い。しかし、サービス面がいかに良くても、「高いお金を払って安心を買っている」というように、価格の高さがすなわち安全性の高さにつながっているのではないかとの見方も根強くある。そのことについて、鈴木氏は次のように語る。

「まず、弊社はコスト削減のために努力していますが、安全に携わるところでのコストは一切省いていません。むしろ、国が定めている安全規制よりはるかに高いレベルを設定しているのです。したがって『運賃が安いから適当に整備したり中古機材を使っている』という認識はまったくの誤りです。事実、親会社の一社でもあるカンタス航空は90年以上運航していますが、今なお世界で最も安全なエアラインと評価されています。当然ながら一度も死亡事故を起こしたことがない。そして弊社は、カンタスのセーフティマネジメントシステムをそのまま導入しているのです。飛行機に関しても、中古ではなく新造機しか採用していませんし、故障が少なく、万が一故障があっても対応が手厚いエアバス320という機種に統一しています。

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また、パイロットはもちろん経験者ばかり。弊社では国内だけでなく海外からも経験豊富な機長を採用しています。パイロットはその経験に応じた内容の訓練を行っており、特に実機を使用した訓練については他の航空会社と比較しても訓練量を多く設けています。これは安全運航を実現するための方針の一例です。そして客室乗務員についても他社様でやっていないような厳しい訓練を行っています。たとえばプールに服のまま浸かって救命訓練をしたり、消火訓練も高いレベルでこなしていくなど。こうした訓練費用も国家基準から一切削減していません。こうしたことだけでも、安全性へのこだわりはご理解頂けるのではないでしょうか」

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