注目企業インタビュー
経験を生かして各人に寄り添ったサポートを
自信を育み、居場所をつくる就労継続支援
過去の経験から支援員に転身
畑山 そのような状態から、どのように立ち直られたのでしょうか?
大江 2年ほど経ち、「このままではいけない」と危機感を覚えた私は、新しいことに挑戦しようと2024年の春から就労継続支援A型事業所で支援員として働き始めました。そして、2024年の8月に当社を設立し、「Mother’s Port」を2025年春にオープンするべく準備を進めています。
畑山 「Mother’s Port」は、どのような方を支援の対象としているのでしょうか?
大江 知的障がい・発達障がい・精神障がい・身体障がいなど、さまざまな方を対象としています。障がいの種類や程度は問いません。利用者様には、商品発送代行業務に携わっていただきます。具体的な流れとしては、まず、ネット通販を手がけている協力会社から商材をお預かりします。その商材を撮影し、画像処理を行い、さらに商材を梱包して発送手配を行うまでが私たちの役目です。
畑山 EC販売は需要が拡大していますから、継続性の見込める良い仕事ですね。ところで、大江社長が社会復帰のタイミングで支援員というお仕事を選ばれたのは、やはりご自身とリンクする部分があったからですか?
大江 はい。たまたま見た求人情報で就労継続支援A型事業所というものの存在を知りました。私と同じように精神的につらい方や、障がいがある方の社会復帰を支援するという内容に非常に共感を覚え、「やってみたい!」と強く思ったんです。
利用者の居場所となるような事業所に
畑山 ご自身が心身の不調で苦しんだご経験があるからこそ、利用者さんの不安や悩みにも寄り添えるのでしょうね。そのご経験は支援員としてのお仕事にも生かされたのではないですか?
大江 そう感じる瞬間は多いですね。就労継続支援A型事業所で支援員として働いていた時、ある利用者様がこんな話をしてくださいました。「難病の診断を受けた際、『もう人のために何かをすることはできない。これからは人に助けてもらうことしかできないのかもしれない』と思い、生きる意味を見失ってしまった。でも、この事業所で働き始めて『自分にもできる仕事がある』と感じられるようになり、この場所が私の生きる理由になった」と。この言葉は私の胸に深く刻まれています。私も支援員として現場で働いた経験をもとに、皆さまの生きる活力の源となるような事業所をつくりたいと思っています。
畑山 仕事は社会との大きな接点です。社会とつながっているという感覚は、人にとって非常に重要なものですよね。
大江 おっしゃる通りです。障がい者の方々はどうしても孤独になりがちなんです。ですから私は「Mother’s Port」を、仲間とわいわいコミュニケーションを取り、悩みを吐き出せる皆さまの居場所にしたいとも考えています。他者とのコミュニケーションも、社会復帰を後押しする大きなステップの1つですからね。
畑山 お話から、利用者さんを思う大江社長の温かなお気持ちが伝わってきます。
大江 ありがとうございます。当事業所では、一人ひとりに寄り添った細やかなサポートを提供いたします。そのサポートのもと、利用者様には焦らず、じっくりと社会復帰を目指していただきたいですね。働いたり、技術を身に付けたり、仲間と交流したりすることで、来る前よりも自分のことを好きになっていただけるような場所にしたいと思っています。
畑山 私は、「人のために」というのが仕事の本質だと思っています。大江社長の事業はまさに、私が考える「仕事」そのものです。ぜひその情熱で、素晴らしい事業所をつくり上げてください。応援しています!
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