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注目企業インタビュー

竹を収益化し、放置竹林を有効活用!<br />
「竹林マイクロビジネス」で環境保全に貢献<br />

製造・技術

竹を収益化し、放置竹林を有効活用!
「竹林マイクロビジネス」で環境保全に貢献

有限会社 近藤製作所
代表取締役社長/美しい久野里地里山協議会 会長                おだわら環境志民ネットワーク 副会長 近藤 忠

PROFILE

金属加工業を営む父の背中を見て育つ。中学生で工作機械を使いこなすなど、ものづくりが好きだったことから(有)近藤製作所を継ぎ、2代目に就任。順調に業績を伸ばす。「SDG’s環境課題解決エンジニアリングカンパニー」を掲げ、地域の自然や農地の保全活動にも注力している。現在は、「竹林マイクロビジネス」で放置竹林問題の解決に貢献するべく活動中だ。

COMPANY DATA

有限会社 近藤製作所

住所
〒250-0055
神奈川県小田原市久野1067-3
URL
https://www.kondo-seisaku.com/

神奈川県小田原市を拠点に新たな挑戦を続ける(有)近藤製作所。代表取締役社長の近藤忠氏は、機械の設計製作事業と共に環境保全活動にも取り組んでいる。放置竹林の解決を目指す同氏の取り組みについて、ミュージシャンの鶴久政治さんが話をうかがった。


 

父の後を継ぎ、2代目に就任

鶴久 はじめに、(有)近藤製作所さんの歴史や、近藤社長のこれまでの歩みをお聞かせください。

近藤 当社は、私の父が1972年に設立しました。金属加工業に取り組む父の背中を見て育った私は、昔からものづくりが好きで、中学生の頃には工作機械も使いこなせるようになっていたんです。ですから自然な流れで、2代目として当社を継ぐことになりました。

鶴久 御社では現在、どのような事業を手がけていらっしゃるのですか?

近藤 機械の設計や製作を請け負っています。例えば、金型や加工治具の設計・製作、検査装置の開発から製作までを一括してお引き受けしています。当社は、お客様のご依頼に合わせて製品を設計いたします。お客様の課題を解決すべくアイデアを練り、それを形にするこの仕事は非常にやりがいがありますね。

鶴久 お話から、近藤社長のものづくりへの思いが伝わってきました。一方で、社長は環境保全活動にも注力されているそうですね。

近藤 そうなんです。私は物心ついた時から、近所の小川で遊んでいました。地域の山や川が私の原風景で、「地元の自然に育ててもらった」という気持ちが強いんです。最初は個人で地域の自然や農地の保全活動をしていたのですが、規模が小さいこともあり、なかなか周囲に理解してもらえませんでした。そこで、行政からの要請もあり、諸先輩と「美しい久野里地里山協議会」を立ち上げたんです。現在は、「おだわら環境志民ネットワーク」という団体の副会長も務めています。また、会社としても「SDG’s環境課題解決エンジニアリングカンパニー」というモットーを掲げ、地域の自然を守る取り組みに力を注いでいます。
 

放置竹林の解決に取り組む

鶴久 具体的には、どのような活動をされているのですか?

近藤 現在は、全国的に深刻化する放置竹林の問題に取り組んでいます。整備されず放置された竹林はどんどんその範囲を広げ、土砂災害や害獣被害の増加、森林の減少、不法投棄、農業被害など、さまざまな問題を引き起こします。そこで私は、竹林を収益化につなげることで、竹林の整備を促す「竹林マイクロビジネス」というスキームを考案いたしました。

鶴久 「竹林を収益化」というのはつまり、竹を加工して販売するということでしょうか?

近藤 はい。私は竹の加工品として、食用メンマ「シン・メンマ」を開発しました。日本で一般に流通しているメンマは日本に自生しない麻竹という種類の竹を使ってつくられており、日本の竹では、メンマのあの独特の香りが出せないことが課題だったんです。そこで私は、酵母や菌類の知識を駆使して、「シン・メンマ製造法」を独自開発し、現在商標登録中です。さらに、「シン・メンマ」の原料は、タケノコではなく、1~3メートル程度に成長した竹なんですよ。
 
 

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