PROFILE

仕事で家を不在にすることが多かった父親に代わり、家庭を支えてくれた母親を慕い支えながら育つ。大学卒業後は外資系および国内の半導体関連企業に40年勤務。東日本大震災を機に「物より心」の価値観に目覚め、2024年2月に独立し女性起業家サポートに乗り出した。

COMPANY DATA

石黒　女性起業家支援事業を手がけるリンクスオブハーツ（同）さん。まずは、稲葉代表が開業に至るまでの歩みからお聞かせください。

稲葉　私は東京工業大学卒業後に外資系と国内の半導体関連企業に勤務し、40年のキャリアを積んだ後、2024年2月に同社を退職しました。その間、技術職からマネジャーまでさまざまな業務を務め、新規事業立案の事務局で采配を振るったり、現在のブームに先駆けて生成AIの開発に挑戦したりしてきたんです。赴任した仙台市では、東日本大震災に遭遇しました。震災をきっかけに物や金銭より心の触れ合いが大事だと価値観が変わり、メンタルヘルスの市民団体を立ち上げ、コーディネーターに就任したんです。こうした多彩な経験を生かし、当社を創業しました。

石黒　いろいろとある起業支援の中で、稲葉代表が特に女性を応援しようと決めた理由は何だったのでしょうか？

稲葉　女性には高いコミュニケーション能力など優れている点も多いですが、ビジネスを立ち上げても同じ女性をターゲットにしがちで、なかなか市場が拡大しません。また、大企業や団体とパートナーシップを結ぼうとしても相手は男性が中心で、どうしても軽く見られがちです。そこで、数々の新規事業を成功に導いてきた私が女性と男性、起業家と大手企業の役員を結ぶ強力なサポーターになろうと決意しました。

石黒　それは頼もしい限りです。具体的な支援策についても教えてください。

稲葉　当社の支援対象はスモールビジネスで起業を目指す女性です。たった1人で壁にぶち当たりながら頑張る女性のためにメンタルサポートもご提供しています。アナログからデジタルまであらゆる技術に精通し、日本企業と外国企業両方の良い点と悪い点を理解している点も私の強みです。また、当社の一番の特徴は事業資金として私の個人資産を提供していることで、これは一般的な融資ではありません。利子も手数料も不要で3年のうちに事業を軌道に乗せたら、元金と利益の一部を成功報酬としていただくだけなんです。このようなサービスを提供しているのは、日本ではおそらく当社だけではないかと思います。

石黒　なるほど。事業内容についてはどのような審査があるのでしょうか？また、今後の目標についてもぜひお聞かせください。

稲葉　私は商品やサービスについては特に気にしません。それよりも「3年間は何があってもあきらめずに頑張る」と約束してくれた女性の夢を実現させたいんです。今、私はこの女性起業家支援に非常に大きなやりがいを感じています。私と同じシニア世代にノウハウを伝え、支援の輪を広げることが目標ですね。女性の笑顔であふれた世界をつくり、閉塞した日本社会を明るくしていきます！

GUEST COMMENT

石黒 彩

画期的な仕組みで女性起業家を支援されている稲葉代表。やりたいことは決まっているのに、資金も含めて不安ばかりでなかなか起業に踏み切れないと悩む女性に、代表が大きな力を与えてくださることが対談を通してよくわかりました。ぜひ、これからも元気な女性を増やし日本を改革していってください！