注目企業インタビュー
人を育ててこその空手道
小倉 貴重な時間を捧げて空手に情熱を注ぐ中川代表。そのモットーは?
中川 実践空手というと攻撃重視と思われがちですが、私は攻めより守りを大事にしています。これは試合に限った話ではなく、日常生活でトラブルに巻き込まれるなど有事の際にも、自分から手を出さず、相手の攻撃をかわして自分自身を守ること。また、自分の大切な人・ものを守る為にのみ攻撃をしなさいと生徒たちに伝えているんです。また、日本人の基本は礼儀作法にあります。空手道場には「選手を育てる」という意識の強い指導者が多いのですが、私は「人を育てなければ空手をする意味がない」と考えています。
小倉 とても共感できるお話です。心身の鍛錬を通じて礼儀を学び、思いやりのある人材を育てることが今後の日本には欠かせません。また、自分で考える力を養うことも重要ですね。
中川 小倉さんのおっしゃるとおりです。ですから当団体の稽古では、私は生徒に答えをすぐには教えません。「こういう場合はどうすればいいか」と質問を投げかけて考えさせ、間違ってもいいから積極的に答えを言わせることで思考力の上達を促しているんです。
小倉 サッカーでも、日本の指導者は自分がやりたいプレーを押し付けがちですが、それでは自己満足になってしまい、本当の意味で子どもの可能性を引き出すことにはつながりません。
中川 日本の指導者はティーチングに偏っていますよね。でも、本当に大切なのはコーチング――寄り添いながら道を指し示し、導いていくことが指導者だと思うんです。私は、生徒たちに人間としての視野を広げてもらうため、空手以外にもエコパークの体験に連れて行ってリサイクルについて学んでもらうなど、「体験学習プロジェクト」にも力を入れています。
小倉 素晴らしい。まさに文武両道を実践していらっしゃるわけですね。ちなみに、道場の名称にはどのような思いが込められているのでしょうか?
中川 「秀優」には「相手の憂いに寄り添い共感できる人間こそ優しく秀でた人間である」という意味を込めました。「武塾」は武が空手道、塾が学び舎の意味でつけました。
4つの「得」で子どもたちを成長させる
小倉 真剣に人を育てるうえでは、時として厳しく接する瞬間もあると思います。
中川 はい。今の時代は、厳しい指導や体罰が極端に嫌われる傾向がありますが、私は生徒が入門する際、親御さんに「真剣に稽古に取り組まないなど、目に余る行動があった場合は稽古から外す、正座をさせるといった罰を与える場合があります」とあらかじめ承諾をいただいています。もちろん、それは子どもたちの成長を心から願っているからです。
小倉 指導に懸ける中川代表の熱い思いがひしひしと伝わってきます。こちらに通う生徒さんたちは、きっと真っすぐに成長できることでしょう。
中川 そう言っていただけると嬉しいです。人間には「習得」して「納得」して「会得」して「体得」する、という4つの「得」があります。これらを身に付けさせ子どもたちの成長を促すことが私の使命だと思っています。一人ひとりとコミュニケーションを取り、上達するきっかけとなるスイッチを探し当て、生徒たちが少しずつ成長していく過程を見られることが、私にとって何よりの喜びなんです。
小倉 ぜひ、中川代表の見事な指導で世界に羽ばたく日本人を育成してください。そのためにも、空手にとどまることなくご活動を広げていただきたいですよ!
中川 もちろんそのつもりです。私は、農業高校で畜産を学びました。その経歴を生かして今後は農業体験も交えて企画するなど、さまざまな学習を通じて生徒たちの未来(将来)がより良く素晴らしいものになるように頑張っていきます!
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GUEST COMMENT
小倉 隆
大切な人や自分の身を守る「秀優武塾」さんの空手は本当にすばらしいと感じました。心身の鍛錬と礼儀作法の教育を通じて、思いやりのある人材を育成する中川代表の指導は、今後の日本に欠かせないものになるでしょう。成績を上げることに終始してしまいがちな学校教育とは一線を画す人間形成に取り組む代表のさらなるご活躍を、私も楽しみにしています!