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注目企業インタビュー

高校の出前授業で左官をアピール

名高 業界の風土を変革し、業界全体のイメージアップを図られたのですね。具体的には、どのようなことをされてこられたのですか?

鈴木 まず、中途採用を安定させるために、それまで一人親方だった職人を社員として雇用し直し、社会保険も完備して、ハローワークの活用を行いました。新卒の採用については、私の息子が通っていた工業高校の先生に相談し、たくさんの資料を用意して熱意をアピールしたんです。幸い、お互いの理念がうまくマッチして、2017年からその高校に出張し、「出前授業」という形で当社の紹介をさせていただけるようになったんですよ。出前授業はいつしか恒例行事になり、それをきっかけに毎年1人から2人の卒業生が当社に入社してくれています。業界イメージの向上がうまくいき、嬉しいことに女性の職人も増えていったんです。

名高 それは素晴らしい。どんどん新しい人材が入ってきて、会社の雰囲気も変わったのでは?

鈴木 ええ。今では若い従業員が自分たちで企画し、ボウリング大会なども定期的に開催するようになりました。年に2度のバーベキューも、そのエネルギーを受けて華やかな雰囲気になりましたね。また、出前授業についても、今度は彼らが一人前の職人として高校生の前で話をするんです。「英和技研に来てね!」と一生懸命アピールしている彼らを見ると、とても嬉しい気持ちになります。

名高 お話をうかがうだけでも、若い人たちが生き生きと働いている様子が目に浮かびます。若い職人の育成では、どのような点を大切にされているのですか?

鈴木 技術面はもちろんですが、何より人間性を育んでいくことに力を注いでいます。身なりを整えさせたり、車内をきれいにさせたりと、指摘をする際は生活態度についてのことがほとんどですね。そうして人間力を高め合うことで、「職人として良いものをつくりたい」という信念も自然と浸透していくと考えているんです。5年後、10年後にはこういった努力が実り、他社にはまねできない勢いと技術力のある会社になると確信しているんですよ。

多能工職人を供給する関連会社も創業

名高 鈴木社長の思いやりが心に沁みます。しかも、最近になって新たな挑戦を始められたとか。

鈴木 はい。2023年10月に関連会社の(同)TASKAを創業しました。TASKAは現場の材料運び、清掃など幅広い業務を手がける多能工職人の集団です。多能工職人は専門分野を持たず、あらゆる現場のサポートを行います。当社に入ってくれた若者が「会社は魅力的だけれど、自分は左官に向いていない」と感じるようだったら、TASKAで多能工職人になり、さまざまな現場のサポートを通じて自分に合った道を見つけてもらうことができるんですよ。

名高 どうして、そこまで若者や業界の未来のために頑張れるのですか?

鈴木 それは、私を含めスタッフ全員が自分の仕事に誇りを持てるようにしたいからです。そのためには、ますます多くの方に「栃木の左官職人なら英和技研」と言っていただける会社に成長しなければなりません。だからこそ今後も、当社は若い人材を積極的に採用し、左官職人を親しみのある存在にしていきます。自分の人生を切り開くために、どんなことでも前向きに取り組める熱い気持ちのある若者は、ぜひ、私たちと一緒に働いてほしいです!

GUEST COMMENT

名高 達男

高齢化や人手不足の問題に直面しても、ただ悩み、手をこまねいているだけでなく、多彩なアイデアと見事な実行力で若い人材の獲得に成功している(株)英和技研さん。とても明るく魅力的な社風とチームワークのよさに、大きな将来性を感じました。新しい左官職人像を打ち立てて若者の夢を応援する鈴木社長。今後のさらなるご活躍を私も期待しています。

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