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注目企業インタビュー

「守・破・離」の精神で伝統に革新を

名高 素晴らしいアイデアだと思います。漆独特の光沢と質感のためか、機能の塊だったエアコンに重厚感が出て、値打ちがぐんと上がったような気持ちにもなりますね。このクラフトデザイン華電に挑戦される中で、安達代表が大切にされている心構えのようなものはありますか?

安達 私が心がけているのは、メーカーにいた頃に尊敬する上司が言っていた、「守・破・離」という言葉を常に考えることです。「守・破・離」という言葉は、剣道や茶道における修業の段階を示したもので、「受け継がれてきたものを守り身に付けること(守)」、「ほかの良いものを取り入れて発展させること(破)」、「伝統を離れて新しいものをつくり出すこと(離)」という3つの意味が組み合わさっています。漆の世界も、いま新しいものにチャレンジしないといずれ衰退してしまうと、経営者さんたちは危機感をひしひしと感じているようでした。私は、エアコンに漆の文化を取り入れることで、そうした伝統工芸を後世にまで残し続けたい――そうも思っているんです。

名高 強いこだわりの中で生きる職人さんたちの思いや技術についても、安達代表は考えていらっしゃるのですね。今後、このクラフトデザイン華電の未来を、どのように思い描かれていますか?

安達 実は山中塗に続いて、京都で漆工芸を営んでいる経営者の方から、クラフトデザイン華電をぜひ取り組みたいと返事をしていただけたんです。京都では、従来の黒や紅赤、朱色などの漆塗りとはがらりと違う、より多彩な色味と現代風デザインにも挑戦しています。漆は年月が経つほど光沢が増し、塗布して15~20年後が最も美しいといわれます。また、近年「抗ウイルス性・抗菌性」についても、24時間後には99.7%が不活性化することが検証されました。今後はエアコンだけでなく、空気清浄機などもそのすばらしい特性と技術を用いて長く大切に使っていただける、「漆華電」を売り出したいと考えているんです。今後もさらに電化製品と伝統工芸という組み合わせに向き合い、より多くの方に当社の商品を知っていただけるよう、挑戦を続けてまいります。

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