注目企業インタビュー
鉄骨工事一式から建築金物の製作まで
職人が安心して働き続けられる会社へ
渡辺 そうですね。また、当社では建築金物の製作・設置も承っています。建築金物とは、一般的な建物に用いられる金物のことです。わかりやすい例を挙げるなら、階段や手すりなどのことですね。建築金物では鉄だけでなく、ステンレスの加工も行うんです。
矢部 鉄骨工事と建築金物製作の両方に取り組まれているところは非常に珍しいですよね。骨組みから建物のパーツまで、ワンストップでお願いできるとお客さんも安心でしょう。建築金物製作には以前から取り組まれていたのですか?
渡辺 いえ。実は、当初は建築金物製作に対する知識がなく、図面の書き方を必死に学ぶところから始めたんですよ。
職人が長く働ける環境づくりを
矢部 建築金物製作への進出は、渡辺社長の新たな挑戦だったのですね。鉄骨工事と並行して建築金物製作を始められたのはなぜだったのでしょうか?
渡辺 建設業界は高齢化が進んでいます。ですから私は、年齢を重ねた職人も活躍できる会社にしたいんです。お話しした通り、私は鉄骨工事を経営している会社に生まれました。つまり私は、職人さんが働いてくれていたおかげでご飯が食べられていたし、ここまで成長できたんです。18歳の頃に一緒に働いていた職人さんの多くは今、50代です。長年お世話になってきた職人さんが安心して働ける環境をつくり上げるべく、鉄骨工事よりも体への負担が少ない建築金物製作を始めました。
矢部 恩返しの気持ちを持って新しい1歩を踏み出されたということがとても素晴らしいです。また、10代の頃から職人として働かれてきた社長ならではの視点だとも感じました。
渡辺 ありがとうございます。とにかく、職人全員が安心して長く働き続けられる環境をつくることが、今の一番の目標ですね。ただ、もちろん、若者にこの仕事の魅力をもっと知ってほしいという気持ちもあります。職人は、技術さえ身に付ければどこへ行っても仕事ができます。また、自分の手がけたものが目に見える形で残ることも、大きな魅力なんです。