注目企業インタビュー
東京都出身。中学時代から既に「自ら働いて稼ぐ」という意識を強く持ち、成人して渡米後はシカゴで割烹日本料理店に勤務。帰国後は家業の印刷業と併行して飲食店経営にも着手し、都心部各地に5店舗を展開。現在も各事業を順調に発展・拡大させている。
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スタートから猛ダッシュ
五十嵐: 社長の社会人第一歩としてのご職業は何だったのでしょうか。
鈴木: まだ社会人とは言えないかもしれませんが、職業人としての基礎は高校時代の鮨店、お好み焼き店、焼肉店など飲食店でのアルバイトで培いました。私は時間があれば常に何かをしていたいタイプで、高校時代は学校が終わるとボクシングジムでトレーニング、それが終わると飲食店でアルバイト、深夜に帰宅して寝て、朝になったらまた学校に行くという生活を3年間続けました。夏休み中はそれに加え、別の飲食店でも朝から毎日アルバイトをしていました。
五十嵐: 若いとはいえ、そんなハードな毎日で疲れなかったですか。
鈴木: 疲れは全く感じませんでしたね。3年生の時には貯まったお金で単車を買い、日本1周ツーリングも経験しましたよ。
五十嵐: 大変なバイタリティですね。高校を卒業後は、どのような道に進まれたのでしょう。
鈴木: 飲食店に就職し、厨房に入って働きました。その後母の知り合いを頼って渡米し、シカゴの割烹日本料理店でも料理人として約3年間働きました。永住権まで取得しましたが、やはり日本で生活しようと思い、23歳の時に帰国しました。当時、印刷業を営む実家は新しい機械を入れて事業拡大を図っていた矢先でして、それで私も一旦飲食業の世界を離れ家業を手伝うことになったのですが、取引先の印刷会社で修行を積んでいる間にバブルが弾けてしまいましてね。実家に戻って最初の8年間は負債を償却するために、昼夜、休日も関係なく、働きとおしの毎日でしたね。
五十嵐: 非常に密度の濃い職業キャリアですね。今日は社長がフランチャイズで経営する和豚料理専門店「紅とん」さんにお邪魔していますが、社長がその後再び飲食業界に戻ってこられたきっかけは?
経営者としての矜持
鈴木: 友人が「北の富士」というちゃんこ料理店を共同経営で手掛けていたのですが、母体の会社の経営が傾き、店の存続が危ぶまれていたのです。そんな時、共同経営の相手の方から「このままでは店が立ち行かない。どうしたものか」と相談を持ち掛けられました。私としては、店の経営がうまくいかない原因が料理人の立場からしか店のことを考えられない私の友人のほうにあることは承知していましたから、彼に話をしてそれまでの出資金を全て返し、私が彼のぶんの経営権を買い取りました。現場から経営サイドへと立場は変わったものの、久々に飲食業の世界に戻ってきて、新鮮な気分でした。
五十嵐: それが社長の、経営者としてのキャリアの始まりというわけですね。社長は「北の富士」さんの他にも、複数の飲食店を展開されていますよね。それぞれご紹介いただけますでしょうか。
鈴木: 「北の富士」でお世話になっている酒販業者からお話をいただいて、8年前から市ヶ谷で「月花亭」というイタリア料理店を開いています。元は普通の居酒屋だったのを私の意地もあり、イタリア料理店としてオープンさせました。
五十嵐: 社長の意地?それはどういうことでしょう。
鈴木: 知人と一緒に飲食業を始めたいと言うので、私が出資して共同経営してもらう形でラーメン店をオープンさせた親戚がいたのです。都内でも有数のラーメン店に暖簾分けしてもらえたのでお客様の評判も良く、店は大繁盛しました。しかし元証券マンで料理のことには疎い私の親戚が経営から抜けた後、元料理人だったその知人のほうが私に、経営から手を引くよう迫ってきたのです。出資金に関してはまとまった額を上乗せして一括返済してくれましたが、印鑑と名義を書き替えられた後で突然そんな話を出されましたので、私としては心情的に納得できないわけです。でも、それ以上揉めるのも嫌だったので、忸怩たる思いで手を引きました。
その後酒販業者から市ヶ谷の物件のお話をいただいた時、その彼がイタリア料理の専門だったのを思い出しまして。それでイタリア料理店をオープンすることにしました。決して当て付けのつもりではなく、私としては、店は料理人だけで成り立つものではなく、しっかりした経営者が上手に運営すれば店を盛り立てていくのは充分に可能だということを、未だに理解してもらえませんが彼と同じ土俵で証明して見せたかったのです。おかげさまで現在は自社ブランドで展開する「北の富士」「月花亭」の両店に加え、フランチャイズでこの「紅とん」、さらに海鮮居酒屋「はなの舞」、焼き鳥店「とり鉄」を経営し、繁盛させていただいています。
スタッフと共に成長・発展
五十嵐: 料理人と経営者、両方の立場で実績をお持ちの社長ですから、言葉に説得力がありますね。飲食業界は通算で何年になりますか。
鈴木: 16歳からですから、もう23年になりますね。現場が好きなので、今でも可能な限り厨房に入りますよ。普段のスケジュールとしては、朝8時に出勤し印刷業のほうで打ち合わせや段取りづけ、得意先回り等の業務、ランチタイムは「月花亭」で料理人として皆と一緒に腕をふるい、昼食を終えるとスーツに着替えて午後の仕事にかかり、夜は作業着に着替えて印刷工場で機械を回したり事務仕事をしたり、という流れになります。一日の仕事を終えて帰宅するのは、だいたい深夜2時を過ぎてしまいますね。
五十嵐: まさに八面六臂の大活躍。体がいくつあっても足りませんね。社長自らがそれだけ率先して頑張っていたら、スタッフにも良い刺激になるでしょう。スタッフの皆さんに対しては、仕事の中で何を意識するよう指導しておられますか。
鈴木: 「常にお客様の身になって考えなさい」と指導しています。飲食業は、日々の業務内容は毎日同じことの繰り返しです。しかし我々にとっては同じ一日でも、お客様にとってはその日、その時のご来店が一期一会の機会です。飲食店従業員も一歩職場の外に出れば立場は「客」です。ですから、例えばプライベートで他店に入った時にも、その店の雰囲気、接客サービスなどから自分なりに勉強し、普段の自分の仕事に活かすことが大事なのです。
五十嵐: 店舗全体で、スタッフは現在、何人いるのでしょう。
鈴木: 1店舗あたりの平均が約20人なので、100人近くいます。アルバイトの高校生も多いですよ。総じて若い子たちのほうが素直で、仕事熱心です。自ら率先してサービス向上のためのミーティングを開くなど、本当に良い子たちが揃ってくれて、ありがたいです。
五十嵐: 良いスタッフに恵まれて、更に事業の成長が期待できそうですね。では最後に、これからの目標を聞かせて下さい。
鈴木: 現在、印刷業はベルツと紅丸の2社で30社の顧客と取引があります。しかしこれ以上の顧客拡大は難しい。それに比べ飲食業はお客様を開拓する余地が充分に残っていますし、企業努力が直接効果になって現われる業種でもあります。またグループ全体の収益バランスという観点からも、これからは飲食業の事業規模拡大に注力していこうと思っています。1年に1店舗でもいいですから、着実に店舗を増やしていきたいですね。
スズキグループ
・(株)ベルツ ・(株)紅丸 ・(有)三協鈴木
・(有)鈴木製本 ・(有)高栄 ・(有)源
・(有)源ニ ・パンダハウス<東京都知事(4)第14148号>
・(有)ココモ
飲食事業
北の富士 | 〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-15-1 真下ビルB1 フリーダイヤル 0120-35-8135 TEL/FAX 03-3981-1796 |
月花亭 | 〒102-0074 東京都千代田区九段南4-7-22 メゾン・ド・シャルー B1F TEL 03-5275-3512 FAX 03-5275-3513 |
とり鉄 高島平店 | 〒175-0082 東京都板橋区高島平8-3-9 第11藤ビル1F TEL 03-5921-2160 FAX 03-5921-2161 |
紅とん 池袋東口店 | 〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-23-3 第2ソシアルビル1F TEL/FAX 03-3988-0858 |
はなの舞 高田馬場駅前店 | 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-18-11 稲門ビル3F TEL/FAX 03-3208-2802 |
GUEST COMMENT
五十嵐 めぐみ
日本の飲食業界の未来について、「味に店ごとの差がなくなった現在、イメージや居心地の良さを提供することが大事」と予測してくれた鈴木社長。けれどもそれらは主観的な要素だからこそ、個々のお客様の嗜好を見抜くには経験と、センスが物を言いますね。割烹日本料理店では、親方から「お前は他人のやり方を観察して自分の物にするセンスが優れているから、吸収したものにアレンジを加えて自分の味を編み出していくように」と指導されたそうです。これからもその持ち前のセンスで、事業を発展させていって下さいね。