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コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

キャンプやサバイバルに関するアウトドアスクールを主催しているイナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。かつてのブームが終息を迎え、今では1つのカルチャーとして人気が定着したように見えるキャンプ。ソロキャンプからファミリーキャンプまで、さまざまな楽しみ方があるキャンプを始めるにあたり、ぜひ知っておきたいことについて記していく。
 

◎キャンプブームは一時的なものだった?

新型コロナウイルス感染症のまん延によって、密を避けるなどの観点から野外での活動にスポットが当たり、一時的にキャンプを始める方が増えたことで、アウトドア業界では「キャンプブームの再来」といった空気があった。しかしそれは文字通り一過性なものにすぎず、現在では、使わなくなったキャンプ道具が中古で数多く売られるようになっている。こうした現況は同じ業界に身を置く者として残念な面もあるが、今後キャンプを始める方にとっては、費用を抑えながらスタートできるという意味で好環境なのかもしれない。

私はコロナ禍になる直前あたりからキャンプ教室を主宰している。さすがに、緊急事態宣言が出た時は申し込み者がゼロになったりもしたが、その後は参加する方が増えた時期もあった。現在では前述した費用の影響もあってか参加人数は安定している。私見では、いまキャンプをしている方たちは、ブームに左右されず「本当にキャンプを楽しんでいる」のではないかと思う。

◎キャンプを始める前に知っておきたいこと

キャンプを始める際に多くの方が悩むことの1つに、「どういった道具をそろえればよいのか?」というものがある。しばしばそのような質問をされる私だが、実はあまり道具を持ち歩きたくないタイプなのだ。例えば、普段キャンプ関連のSNSを見ていても「キャンプに行って疲れた」といった内容の投稿が少なくない。せっかく楽しむために行ったのに、「キャンプは大変なもの」という気持ちが上回ってしまうと楽しさも半減してしまう。そのため、当キャンプ教室では前述したような質問に対し、「最初は日帰りでもいいので、飲みものだけ持参して川や海に行ってみて、どうしても必要だと思ったものだけを買うのがよいと思います」といった返答をしている。

◎キャンプ=野外調理というわけではない

良くも悪くも今は便利な道具があふれており、選択肢が多い。キャンプ初心者が道具選びで悩むのも当然だろう。動画配信サイトなどでも「これがあるとキャンプが楽しくなる」といった内容の動画が数多く見られる。もちろん、持っていると便利なものは多いに違いないが、まずは本当に必要な道具だけをそろえることから始めていただきたいというのが私の正直な思いだ。

キャンプでやることといえば、まずは野外調理をイメージされる方が多いはず。そのために調理器具は何にしようかといろいろ考えた挙げ句、つい余計なものまで買いすぎてしまうのだろう。

そこで、まずは「そもそも野外で調理をするかどうか」ということから検討していただきたい。個人的には、野外で調理をしなければキャンプではないとは思わないし、食べるものは事前に買っておけばよいとも考えている。野外での調理はキャンプの妙味の1つだし、楽しんでもらいたいことではある。

ただ、当教室の参加者に話をうかがうと、「テントやタープの設営に時間がかかって料理をする時間がすごく遅くなった」「たき火をして調理する予定だったのに、たき火ができずに大変な思いをした」といった経験をされている方が多い。ソロキャンプであれば野外調理がうまくいかなくても自分1人が我慢すればすむが、ファミリーキャンプなどではそうもいかない。

近年、さまざまな分野でジェンダーレス化が進みつつあるとはいえ、アウトドアにおいてはまだまだ男性が任される場面が多く、たき火の火起こしなどはその最たるもの。そのことに対してプレッシャーを感じている男性も少なくないようだ。

◎キャンプに役立つワークショップを主宰

これは少し宣伝になってしまうが、当社は「初心者のための厳しいキャンプ教室」というワークショップを主宰している。「初心者向けなのに厳しいの?」と疑問に思われる方もいるだろう。このワークショップは、初心者がつまずきそうなテントやタープの設営や、たき火の起こし方などを体験するものだ。たき火も着火剤は用いずにマッチなどを使って点火することにより、火がどのようにして燃えるのかを知ってもらう。その際に即席ラーメンをつくるのだが、例えば海岸だと風の影響を受けたりして、思うようにできないことが多い。

あえて事前に風よけなども準備しないので、いつまで経ってもお湯が沸かない参加者もいる。最近も「お湯を沸かして食べ終わるまでに2時間かかった」という方がいた。

「そんなに時間をかけてまでやる必要があるのだろうか?」と疑問に思う方もいるだろうが、私は、そうした体験をすることで、実際にキャンプをする際に「どうしたら火がついたか」を思い出せるようになってもらいたいと思っている。

◎実際に自分でやってみることの重要性

キャンプ初心者でなくても設営はいつも他の人に任せているという方が少なくない。「初心者のための厳しいキャンプ教室」は、そんな方がこっそり練習する場でもあるのだ。また、当教室に参加しなくても、ぶっつけ本番ではなく、動画サイトなどで目にした情報を自分で実際にやってみることが大切だと私は考えている。とりわけアウトドアに関しては、頭でわかったつもりになっていても、実際の現場では思わぬことでつまずいてしまうケースが多いからだ。

① 荷物を準備する際は最初から買いすぎない
② 設営などに関してはあらかじめ練習しておく

読者の皆さまには、ぜひこの2点を心に留めてもらいながら、これからのキャンプライフを大いに楽しんでいただきたいと思う。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■X(旧Twitter)
@moritoyo1

 
 

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