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コラム

編集部のおすすめスポット探訪記 Report:5 SAUNA OOO
訪れることでリフレッシュできる、あるいは仕事に生かせるヒントやアイデアが得られるスポットを紹介する連載企画。第5回となる今号では、都営新宿線・馬喰横山駅から徒歩30秒の場所にある「SAUNA OOO(サウナ・オー)」をご紹介したい。ビルの2Fにある「SAUNA OOO」は、コミュニケーションをテーマとした新しい形のサウナ。プライベートな空間で友人や仕事仲間とリラックスして語らうことができる。同じビルの3Fには、スパイスカレーやかき氷などといったサウナ飯を提供するカフェバー「+O+O+O(トトト)」、4Fにはコワーキングスペース、5F~7Fにはプライベートオフィスがあり、これらはすべて蒼樹(株)が運営する「Theater Www(シアター・ウー)」というプロジェクトの関連施設である。同社のCEO ・包 怡萱氏に 「SAUNA OOO」を立ち上げるに至った経緯や、サウナのビジネスシーンでの活用事例などについてお話をうかがった。

 
――このビルは2Fが「SAUNA OOO」、3Fがカフェバー「+O+O+O」、4Fがコワーキングスペース、5F~7Fがプライベートオフィスとなっており、すべてのフロアが御社のプロジェクト「Theater Www」の関連施設だとうかがっています。まずはこのような場所をつくられた経緯からおうかがいできますか?
 
包 コロナ禍を契機にリモートワークが普及し、ただ働くためだけのオフィスは必要ではないと感じるようになりました。そこで、オフィスを「働く場所」から「コミュニケーションをより良くする場所」という風に定義し直したんです。会話を促し、新しいアイデアが生まれる場所をつくるべく、ライフスタイル型オフィスを提供する「Theater Www」プロジェクトを企画しました。「SAUNA OOO」もその一環としてスタートしたんです。
 
――なるほど。コミュニケーションを促す場としてサウナを選ばれたのはなぜなのでしょうか?
 
包 コロナ期間中、友人に誘われたことを契機にサウナの魅力を知ったんです。デジタルデトックスができて、自分の内面と静かに向き合えるサウナの時間は、私にとって非常に大切なものになりました。それだけではなく、サウナは友人や居合わせた他のお客様と落ち着いて対話できる場所でもあります。小さな空間の中で、自分の内面と向き合えたり、他者と思考の交流ができたりする点に「茶室」との共通点を感じました。サウナも茶室もミニマルな空間の中に、豊かな世界が広がっているんですよね。それで、茶室のようなコミュニケーションの空間を、サウナを通して実現したいと思ったんです。ですから、当店が提供しているサウナは、サウナ室を茶室、水風呂を坪庭、休憩スペースを縁側に見立てた空間になっています。
 
――茶室とサウナを掛け合わせる発想が非常にユニークだと思います。東京だけではなく、福岡や大阪にも店舗を展開されているそうですね。
 
包 はい。東京の店舗と比べて、福岡は若者や女性をより意識した遊び心のある空間、大阪はよりラグジュアリーな空間になるよう設計しました。東京の店舗では、最大3名まで利用できる「△の部屋」と、最大6名まで利用できる「□の部屋」の2種類をご提供しています。福岡や大阪の店舗では、人数やシーンに合わせて3種類のお部屋から選んでいただけるんですよ。ビジネスシーンで活用していただきやすいように、大阪の店舗には最大8名までご利用いただけるお部屋もご用意しています。
 
――すべての店舗が和のテイストを取り入れた空間となっており、非常に素敵だと思います。和の要素と言えば、「SAUNA OOO」さんのサウナ室は、畳風の小上がりになっている点が特徴的です。座る場所が上段と下段にわかれている典型的なサウナとは違って、全員が床に座ることになりますから、互いの目線の位置が同じになりますよね。
 
包 ええ。それに、自然と全員が向き合う形になるんです。加えて、段差をつくらないほうがサウナ室の空気を高温に保てるんですよ。私自身、サウナが大好きな“サウナー”なので、サウナ室や水風呂の温度など、サウナーの方に満足していただける環境はしっかりと整えています。また、導線設計にもこだわっているんです。サウナ室から水風呂、休憩スペースへとスムーズに移動できるようにすることで、整いやすい空間をつくりあげました。
 
――ご自身のサウナ好きが設備へのこだわりにも反映されているのですね。まったくの初心者からサウナーになられた包社長にぜひ、初心者向けのサウナの楽しみ方を教えていただきたいです。
 
包 とにかく無理をせず、自分にあったペースを見つけることが大事です。サウナの入り方としてよく言われるのは、サウナに6~12分、水風呂に1~2分入り、休憩スペースで5~10分過ごす。これを1セットとして、3回繰り返すというものです。でも、最初は無理をする必要はありません。サウナに5分入って、水風呂に足まで漬かるというのでもいいんです。何度かサウナに通っていると、だんだん自分のペースがつかめてきて、自然と“整う”感覚がわかるようになるはずです。ちなみに、私は過去に何人かの女性経営者をサウナにお誘いしたのですが、お誘いした方全員、今ではすっかりサウナにはまっていらっしゃいます(笑)。
 
――やはり、ビジネスパーソンとサウナの相性は良いのですね。
 
包 実は経営者の方にはサウナ好きが多いんです。ですからサウナの話題で盛り上がり、「一緒にサウナに行きましょう」とお誘いすることもよくあります。私自身、初対面の経営者の方とサウナで初めて名刺交換をした経験が何度もあるんですよ。
 
――サウナが人脈を広げたり、ビジネスを発展させたりする場になっているのですね。ビジネスシーンで活用されているお客さんも多いのではないですか?
 
包 そうですね。役員の方と若手社員の方々が親交を深めるために私たちのサウナを利用されることもあります。ゴルフよりも気軽に行けますし、時間も決まっているので、飲み会よりも誘いやすいそうです。もちろん、サウナミーティングでご利用いただくこともありますよ。中には、採用の最終面談を当サウナで行うというベンチャー企業様もいらっしゃるんです。
 
――それは驚きです!お話から、「SAUNA OOO」さんがまさに「人と人がつながる場所」になっていることが伝わってきます。2Fのサウナと3Fのカフェバーを利用してイベントも実施されているそうですね。
 
包 そうなんです。サウナ好きの方々と共に、ミートアップイベントを定期的に開催しています。他にも、カレーに関するイベントやDJイベントなど、幅広いテーマを軸に、多くのサウナ好きの方に集まっていただいています。これからも、「SAUNA OOO」、「Theater Www」を通して、人が集まり、アイデアが生まれる場所を提供し続けていくつもりです。
 
 
取材・文:坪井 萌子
写真:坂本 隼
画像提供:蒼樹(株)SAUNA OOO運営事務局

Focus!
スパイスや生薬を使ったメニューが楽しめる3Fのカフェバー「+O+O+O」は、サウナ後の体を、内側からさらに整えてくれる場所だ。写真上は「大海老キーマと人参生姜ポタージュのカレー」。他にも「ローストラムと季節野菜のマサラカレー」「焼鮪とチキンのスパイス出汁カレー」が提供されている。また、ケールやカボチャ、トマトなどを利用した個性的なかき氷も好評だ。カフェバー単体での利用も可能なので、気軽に足を運んでほしい。
 

蒼樹 株式会社・CEO
包 怡萱 / バオ イーシャン
 
中国の西安市に生まれる。中学3年生の時に来日。幼い頃から空間や立体に特別な感情を抱き、高校1年生の時に建築の道に進むことを決意する。京都の大学で建築設計を学び、(株)三菱地所設計に入社。その後、(株)グローバルエージェンツでの経験を経て、蒼樹(株)を設立した。
 
SAUNA OOO
【所在地】〒103-0004
東京都中央区東日本橋3-9-2 2F
【営業時間】8:30~25:30(完全予約制)
【定休日】なし
【URL】 https://ooo-sauna.com/

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