コラム
地方が抱える課題には
ビジネスチャンスが埋もれている
地域の資源(ヒト・モノ・カネ)を活用し
経済を循環させることが地方中小企業存続のカギ!
従来の地方創生は、大企業誘致や補助金などの積み上げによる移住者獲得、特産品開発、観光動画によるPRといった全国一律のものが主流だった。それは話題をつくって人を呼び、金を落とさせるという大都市型の手法であり、地方間の競争を強いるものでしかなかったのである。
しかし、宮崎県日向市の産業用機械製造会社を二代目社長として引き継いだ著者は、地域課題の解決のために自社のものづくり技術を生かし、地域の価値を生み出して地域経済の発展に貢献することが地元中小企業の使命であり存在意義であると考える。
本書では地方中小企業の経営者に向けて、自社がどのような役割を果たすべきか、それを通していかに地方の活性化を実現するのかを具体的な取り組みを通して紹介する。地方創生の方向性と、地方中小企業が今後歩むべき道を示す一冊だ。
《著者Q&A》
■この本を出版しようと思われた理由、動機を教えてください
宮崎県の一地方でチャレンジしてきた地方創生の取り組みを、多くの方々に知っていただきたい、同様の思いを持っている方々の情報交換や対話、協働のきっかけとしたいという思いがありました。日本中に同様の経営環境で奮闘されている中小企業経営者が多数いらっしゃいます。彼らがネットワークをつくり、お互いの知恵や経験を共有し、地域経済を活性化させることで、日本全体が元気になると信じています。
■空洞化している日本の地域共同体をどうすれば回復できると考えますか?
コミュニティ活動を活発化させ、地域課題を自分事として捉える人財を増やす必要があります。まず、地域のありたい姿や、困り事について、地域住民自らが解決策を協議する場をつくっていくこと。日向市で行っている、「ひなたイノベーションセンター会議」や「中小企業振興会議」もその1つです。また、学校を核とする「コミュニティスクール」の機能を充実させることも必要です。
■地方分権は推進していくべきだとお考えですか?
地方の特性を生かし、未利用資源に光を当てて、より豊かな国民生活を実現していくためには、地方分権の推進は必要なことだと思います。中央集権的にコントロールすべきことと、地方が自主的・主体的にコントロールすべきことをはっきり区別して、推進をしていく必要があると考えます。
■ふるさと納税の試みについてはどのように評価されていますか?
地域の特性に合わせた税金の使い方を推進するうえで、大事な制度です。地域経済の発展に資する重点的投資に、ふるさと納税が使われることになれば、特徴的な施策が生まれ、地域経済活性化につながります。
■弊誌の読者宛にメッセージをお願いします
地域の資源や人材を活用し、地域内で必要なものを地域で生み出す力を取り戻し、地域内の経済循環をつくり出していきましょう。そのために、お互いの取り組みに学び、相互支援を促進していく必要があります。全国の仲間とつながっていきましょう。豊かで幸せな国、日本をつくっていくために。
島原 俊英(しまはら としひで) (株)MFE HIMUKA代表取締役社長。(一社)日向地区中小企業支援機構理事長。1962年生まれ、宮崎県日向市出身。熊本大学工学部生産機械工学科卒業後、プラント輸出を手がける大手総合化学メーカー宇部興産(株)に入社し、海外赴任も経験する。1999年、父が創業した(株)日向中島鉄工所に入社し、2001年には社長就任。自社が大手エンジニアリングメーカーの下請けとしての役割しか果たせていないことへの反省から、食、エネルギー、環境の3つのテーマの下で、ものづくりの技を生かした地域課題解決への取り組みを始める。 発行:幻冬舎メディアコンサルティング URL https://www.gentosha-mc.com/ 発売:幻冬舎 URL https://www.gentosha.co.jp/ |
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