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Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

キャンプやサバイバルに関するアウトドアスクールを主催しているイナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。今回は、42.195kmを超える道のりを走るマラソン「ウルトラマラソン」に参加した同氏が、長時間走り続けたり歩き続けたりすることの過酷さを、実体験をもとにつづっていく。ぜひ、マラソンやウォーキングを行う際の参考にしていただきたい。
 

◎私がウルトラマラソンに参加した理由

「ウルトラマラソン」。それはどこか往年の特撮ヒーローの名前にも似ており、何かとてつもないイメージを喚起させる名称だ。ウルトラマラソンとは何か?それは、42.195kmを走るフルマラソン以上の距離を走行するマラソンのことである。私はこのウルトラマラソンに挑戦したことがある。父親が長距離ランナーであったことから、自分もいつか父と同じような距離を走ってみたいという思いを昔から抱いていた。しかし、それを実行するにはやや遅きに失した感がある。

最初のチャレンジは今から約9年前、2014年5月のことだった。距離は65km。それ以前は20kmが自身の最大走行距離だったので、一気に3倍も増えたことになる。しかも、その20kmも私が20歳の頃の記録であり、それ以降は10km程度の大会に時折り出場する程度だった。日頃、練習で走っていたのは5kmほど。ウルトラマラソンを甘く考えていたとしか言いようがない有様である。では、なぜそんな私が未知の距離のマラソンに挑戦しようと考えたのか。先述したような父と同じ距離を走ってみたいという願望に加え、制限時間が長いというのが大きな理由であった。

通常のフルマラソンであれば、6~7時間が制限時間として設けられている。他方、私が参加したウルトラマラソンの大会は60kmを12時間以内に走ればよかったのだ。計算すると、時速5kmで走れば間に合うことになる。加えて、開催場所が近所であることも参加の決め手の1つとなった。当時の私は、普段大した訓練もしていない人間が12時間動き続けることの過酷さを知る由もなかったのである。それは日常生活における活動時間―例えば朝5時に起床して朝食をとり、出社して1日の仕事を終えて帰宅し、22時頃に就寝するという、そうした17時間とはまったく別ものなのだ。かくしてウルトラマラソンに参加した私は、12時間歩いたり走ったりすることのつらさを思い知らされることになるのだった。

◎緊張していたレーススタート時

初参加となったウルトラマラソン当日。主催者の方が「制限時間を過ぎてもお待ちしていますよ」という温かい言葉をかけてくれ、私は好天の中でスタートの合図を待っていた。はたして、参加者は何人くらいいただろうか。そして、号砲とともにゆっくりと集団が動き出した。その様子を見ながら、私はスローペースで大丈夫なのだから、ちょうどよい案配だと感じながら体を前に進めていった。このウルトラマラソンの特徴の1つは、各エイド(給水所)に用意されている食べ物が素晴らしく充実している点にある。鶏の唐揚げ、卵かけご飯など、すべてのエイドで栄養を補給していたらレースが終わる頃には太っているのではないだろうかと思うほどの充実具合だ。

スタートから10kmほどを1時間40分で走ることができ、最初は順調なペースであった。このペースを保つことができればそれなりに余裕を持って完走できる、と思いながら進んでいった。しかし20km地点を過ぎたあたりからペースが落ちていく。途中のエイドで食べすぎたせいもあるのかもしれないが、足の疲労が尋常ではないのだ。まだフルマラソンの半分程度しか走っていないし、全体の3分の1でしかないのに・・・。この時点で、私は本当の意味での「体を動かし続けることの過酷さ」を痛感していた。

◎ピンチに救世主現わる

ちょうど昼食時にエイドがあったのだが、制限時間から逆算すると、すでに完走できないかもしれないというペースだったので、そのエイドをスルーしようと思っていた時に、海岸沿いに1人の女性の姿が見えた。彼女の横を通り過ぎようとすると「あなた、お昼ご飯はしっかり食べたの?」と聞いてくるので、「いえ」と答えたところ、その女性は私に並走するような形で追いかけてきて「食べないと駄目!これを食べなさい」と、ミニあんぱんを渡してきたのである。どうやらその女性はウルトラマラソンの経験者らしく、食べずに走ったらエネルギー不足でもたなくなるから昼食は必ず食べろと助言してきた。特に甘いものは良いとのこと。そこまで言っていただいたし、せっかくなのでそのミニあんぱんを食べながら走り続けたところ、少し力を取り戻すことができた。それでも制限時間が気になってしまうようなペースは変わらず、もはや「走る」という感じではなくなっていた。その後、ごちそうを用意してくれていたはずのエイドも到着時間が遅かったせいかほとんど食べ物を置いておらず、先ほどいただいたミニあんぱんのありがたさが身に染みた次第。そして、ようやく最初の目標であったフルマラソンの距離を超えたものの、残りはまだ20kmほど・・・本当にゴールにたどり着けるのか不安になった。

◎念願のゴールと次の目標

フルマラソンの距離を超えると、もう本当に気力だけで前に進んでいる感じがしていた。ついにゴール近くの建物が見え、「やった、あと少しだ!」と思ったところで、何と「この先左折」の看板が。ゴールまで直線的に行けると思っていたのに、さらに遠回りしなければならないのか、と一瞬気落ちしたものの、どうにか最後の力を振り絞り、やっとの思いでゴール。スタート前に温かい言葉をかけてくださった主催者の方は、制限時間をかなりオーバーしていたにも関わらず本当に待っていてくれて、感謝の念に堪えなかった。上の写真は私がゴールした瞬間のもの。冷静に考えると当たり前のことかもしれないが、ゆっくりのペースであれば12時間でも動き続けられるという甘い目算を立てていた自分自身を大いに反省した次第だ。

さて、そんな私の次の目標は100kmナイトウォークである。ウォーキングであれば大丈夫なのではないかと、また甘く考えている?いや、そんなことはない。先だって25kmほど歩き、その時の経験から簡単ではないなと実感したからだ。今度こそしっかり準備をして臨みたいと思っている。読者の皆様も健康づくりの一環として、歩いてみてはいかがだろうか。ただし、くれぐれも無理だけはしないように。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■X(旧Twitter)
@moritoyo1

 
 

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