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Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

移り行く世の中で生きるビジネスパーソンへ贈る 新しい時代に自分軸を持つ思考のヒント

株式会社 ブレインスイッチ
代表取締役 壁山 恵美子

 
さまざまな物事が目まぐるしく移り変わり、多くの情報が発信されて錯綜している昨今。その中で何を基準にし、何をすればよいのか、取捨選択に悩まされるビジネスパーソンも多い。本連載では、大学院在学中から個人事業主として芸能界・出版業界など多様なフィールドで活躍し、30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、確固たるビジネスノウハウを蓄積してきた、経営戦略コンサルタント・ストレングスコーチの壁山恵美子氏が、これからの新しい時代に向けて、仕事・ライフスタイル・コミュニケーションにおいて自分の軸を持って考えるための“思考のヒント”を、自身の業務や日常生活での実体験に基づき伝えていく。
 

残暑見舞い申し上げます

9月号を購読の皆様、ありがとうございます。また、このコーナーページを開いていただきありがとうございます。今年のあまりの暑さに、新しく取り入れたグッズがあります。それは、首にはめる“28℃以下で凍結する”リング。新しい商品なので通称は不明ですが、一般的には「アイスクールリング」・「ネッククールリング」・「アイスネックリング」などの商品名で販売されている物で、首にはめて暑さをしのぐ、輪状の保冷剤です。

私は最初は「氷は0℃で凍るものだよね?」といった感じで水の氷点しか知らなかったため、「28℃で凍る」という言葉の意味がわかりませんでした。調べたところ、どうやら特殊な原料(米国のNASAで宇宙探査時に使用された温度調整用原料)を使用していて、その原料が温度環境に応じて凍ったり溶けたり(固体と液体との変化)を繰り返しながら、吸熱・放熱することで冷却効果を発揮し続けてくれるのだそうです。とはいえ、聞いただけでは「凍ったところで28℃はぬるいだけじゃない?」と思ってしまいそうですよね。しかし、真夏の炎天下、32℃を超える暑さでこの商品を首にはめて出かけると、28℃というのは実に心地よい冷たさで、過度に冷えすぎず、また皮膚がヒヤッとすることもなく、なんだか適度な感じなのです。表現としておかしなことですが、首の周りを「やんわり冷やしてくれる」という感じでしょうか。数年前から出始めた、水にぬらしてゆるめに絞って使うタオル(冷えタオル)よりも、首周りがぬれないですし、かなり高機能な物ですので、お買い物の際に見かけたら、ぜひ試してみてくださいね。

カフェでの15分

さて、私は最近、外出先でまったく知らない人に声をかけられることが多く、先日も朝の9時過ぎ、企業研修に出向いた先のカフェで声をかけられました。私は研修を担当する場合、だいたい講義時間の約1時間前には最寄り駅に到着するよう心がけており、9時前に到着して、9時15分まではカフェでその日の講義内容を再確認して企業へ向かう、というのが毎月のルーティーンなのです。席について数分後、まだ一口飲むか飲まないかの時に、隣に現れた女性が、「お隣、いいかしら」と声をかけてきました。まだまだ“アフターコロナ”とは言えない情勢下で、多くの飲食店やカフェが1席分のスペースを空けつつ横並びで座る方式を採用していますよね。それで、その女性は一声かけてくれたのだと思います。私は「はい、どうぞ」と言いながら、自分のカバンを引いて正面の座席へ置いたのですが、やり取りはそこで終わらなかったのです。

女性とのぎこちないやり取り

女性 「暑いですね〜」
私  「はい、暑いですね〜」
女性 「ちょっと駅から歩いてくるだけで暑いですね〜」
私  「・・・(うなずく)」

会話はここで一度途切れました。きっと、漫画なら“シーン“と表現されそうな、あの沈黙――私はコミュニケーションなどの講師をしていながら、実は人見知りなのです。小学生の頃はそれに加えて赤面症もあり、授業で指名されて国語の教科書を読むことすら、ドキドキして心臓が口から飛び出しそうになっていました。今は、講師の仕事も仕事と思えば、そのモードにスイッチが入るようになりましたが、今回のように突発的に話しかけられるのは相変わらず苦手で、緊張が走ってしまうのです。しかし、女性は再び話しかけてきました。

女性 「あなた、お仕事?」
私  「はい」
女性 「そう、大変ね。ここから近いの?」
私  「はい、すぐそこの角を曲がって、まっすぐ行って、ここから10分以内です。お仕事に行かれるのですか?」
女性 「私はね、お友達のところに行くのですけどね···この辺り、何か手土産を買うなら、どこで買います?」
私  「この辺ですか、あまりないですね」
女性 「そうよね···このあたりだと、なかなか、気の利いた手土産がないわね」

そもそも私はこのカフェの近辺に住んでいるわけではなく、かと言ってそれを教えて別の話題に発展したり、住所を聞かれるのも個人情報的に面倒な気がして、適当に受け答えをしてしまったのですが、その後も女性は「あなた、髪、おきれいね」とか「何かつけてらっしゃるの?」とか、「ここ(カフェのこと)いいわよね」と、あまり関連性のない話を続けました。

知らない人との会話で思ったこと

しばらくして、女性が「母の日も終わったし父の日も終わったわね。お父様に何かプレゼントされた?」と、母の日・父の日の話題を持ちかけてきました。私がすでに両親が他界していることを告げると、女性は「あらそうなの、それは、ずいぶんお寂しいわね」と言った後、少し間を空けて、「そうですか、お一人になったのなら、じゃあ、お友達は大切にしなければね。お友達とよく会って、仲良くすることね、お友達は大切よ」と続けました。そんなたわいもないやり取りをしているうちに9時15分を回り、私はカフェを出る時間であることを告げて、その場を立ち去ったのです。

読者の皆様は、こうした、知らない人から声をかけられた時、どうしていらっしゃいますか?先にお話ししたとおり、私は人見知りで、仕事や職場での対話や会議は業務上の慣れで大丈夫になりましたが、こうした面識のない方から声をかけられると、つい自己防衛本能が働いてしまいます。聞かれたことに対して、どこまで本当のことを答えればよいのか、何となく体裁を取り繕いながら適当に言葉を交わすことが、とても苦手なのです。先ほどのような母の日・父の日の話題は、かなり個人情報が絡むことでもあります。名前を聞かれたわけではなく、情報が名前とひもづくことでもないから、何か問題があるわけではないのでしょうが、何だか自分の情報を聞き出されているような気になってしまって――今回は相手が初老の女性で同性だったので、さほど警戒する必要がなかったものの、これが異性であったら、想定されるリスクをあれこれ考えて、自分の中で要注意警報が発動してしまったと思います。

しかし、何気なく女性が最後に言った、「お友達を大切にしなければね」という言葉は、数日経った後も、なぜか私の心に残っていました。さらに数日後、さまざまな事情やひょんなことから、10年ぶりの友人や、Zoom越しにしか顔を見ていなかった友人と、立て続けに会う機会に恵まれました。これがとても不思議なことで、会うはずのない人と会う約束をする、という事態が連続したのです。

「袖振り合うも他生(多生)の縁」と言われますが、あの女性は何かのお告げをするために私の前に現れたのではないかと思うくらい、仕事以外で友人と会う機会がとにかく増えていくことになった私。この先もこうしたことが続いていくのかはわかりませんが、見ず知らずの方とぎこちなくコミュニケーションをする中でも、心に残る言葉があったり、身の回りの出来事に影響を与えたりすることがあるという1つの事例として、紹介させていただきました。それでは、また次回お会いしましょう。

(次号へ続く)

※ご質問・ご意見・ご感想はメールでお受けしています。また、ご相談などもお気軽にご連絡ください。皆様のヒントになるコラムを目指していきますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
個人Webサイト https://kabeyama.jp/
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Instagram @kabeyama
Twitter @Kabeyama_Emiko
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