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コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアのオリジナルグッズ開発を手がける、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。今回のテーマは、遠乗りから身近な場所での走行までさまざまな楽しみ方がある「サイクリング」だ。自転車の魅力や歴史、運転する際の注意点や利便性の高い移動手段など、サイクリングを安全かつ快適に楽しむためのポイントを同氏が紹介する。
 

◎子ども心をワクワクさせた自転車の存在

風薫る新緑の季節になると、アウトドアに繰り出す方も多いのではないかと思う。自然にも人にも快適なこの時期、今回はサイクリングについて考えてみたい。

私は子どもの頃、親に自転車を買ってもらった。あれは確か小学校三年生の時だったと思う。それを手にして自分の世界が一気に広がり、どこまでも行けるような感覚すら覚えたものだ。中学から高校にかけて、私の移動手段はもっぱら自転車だった。特に中学の部活動を引退した後は、毎日のように自転車を乗り回していた。徒歩だけで移動していた頃と比べると飛躍的に行動範囲が広がったのである。

季節ごとの風を感じながら自転車を走らせる――今から考えると機械などに興味を持つようになったのはその頃からだったかもしれない。いわば自分だけの機械。タイヤのパンクを修理することで何となく大人になったような気分にもなれた。

私が子どもの頃には「ジュニアスポーツ車」と呼ばれる自転車があった。フラッシャーやテールランプが付いていたり、ヘッドライトがリトラクタブル(開閉するタイプ)になったりと、豪華装備がてんこ盛りの自転車がはやった時代があったのだ。私は乗ったことはないが、車体重量もそれなりのものだったと思う。当時はスーパーカーブームもあり、そのような装備がもてはやされていた。その後、スーパーカーブームの終えんやオイルショックなどの影響もあり、ジュニアスポーツ車は消えてしまったようだが、子ども心をワクワクさせる存在であったことは間違いない。

◎なぜ自転車に惹かれるのか?

私が自転車を好きな理由は大きく2つある。1つめは風を顔に感じながら走ることの快適さ。特に今の時季は心地よいことこの上ない。ただ、時季によっては風を体に浴びると寒いこともあるので、季節ごとにしっかり防寒対策をしたい。

もう1つは自動車よりもゆったりとしたスピードで動く点、さらには停車が容易であることだ。それにより、ちょっとした路地を見つけることができたり、自動車では行けない素敵な場所を発見できたりもする。実際、自分の住んでいる町やその近辺でも、素敵な場所を新たに発見することも多い。

サイクリングをしていると「景色の良い場所を走りたい」といった気持ちになるだろう。先ほど自宅の近所でも新たに素敵な場所を発見できると書いたが、一方で、できれば遠くの景勝地に行ってみたいという思いも芽生えるはずだ。そんな時、ワゴン車タイプの車を持っている方はその車に自転車を載せて目的地まで行き、現地でサイクリングをするという方法もある。では、そのような車を持っていない場合はどうするか?そんな時に活用したいのが「輪行」という手段だ。これはタイヤなどを外し、「輪行袋」という袋に自転車を入れて公共交通機関などで目的地まで行き、現地で自転車を組み立ててサイクリングを楽しむスタイルである。分解や組み立てが大変だと思われるかもしれないが、ワンタッチで外れる金具を付けているモデルもあるので、それらを使うと便利だ。とりわけロードバイク系などに多い。私自身は輪行を実践したことがないのだが、憧れを抱くスタイルの1つで、何度か輪行袋について調べたこともある。

◎電動アシスト自転車という選択肢

最近の自転車は人力のものだけでなく、電気によるアシストで楽に乗れるものもある。また、「原付」と呼ばれる乗り物ものがあることもご存じだろう。「原付」は一般に流布した名称で、50CC以下のバイクというイメージが強いかと思うが、初期は「自転車に原動機が付いたもの」で、ペダルも備わっていたのだ。今ではほとんどその姿を見ることはなく、バイクの形をしたものが「原付」と呼ばれている。電動アシスト自転車は初期の原付に代わるもののように思う。それゆえにサイクリングとは異なるのではといった意見もあろうが、この際、便利なものは利用することにしよう。電動アシスト自転車は観光地でのレンタルサイクルなどにも採用されており、その登坂能力たるや目を見張るものがある。少々の坂であれば、いわゆる「立ちこぎ」をしないでも楽々と坂を登ってしまうのだ。私が普段使っているのはギア付きの自転車だが、電動アシスト自転車は自分の足の力でこぐよりもはるかに加速感がすごいのだ。それほど加速が良いため、アシスト比率に関する法規制があるのもうなずける。弱点はバッテリーが切れると全体の車体が重くなることであり、その後サイクリングを続けるのが厳しくなってしまう点だろう。

◎サイクリングを安全に楽しむために

ここまで書いてきたようにサイクリングは実に楽しいものだが、車道などを走行するため、安全には十分気を付けたい。安全に関する装備として、まずヘルメットは装着しよう。最近の車道には右の写真のような水色の矢羽根マークがあることにお気付きだろうか?それは「自転車走行指導帯」という名称で、道路交通法上、自転車が通行すべき「車道の左側端」を道路上に明示した性格のものだという。自転車専用道路ではなく自動車も通行する道路では、「自転車走行指導帯」があることで、「自転車はこのあたりを走りますよ」と教えてくれるのだ。サイクリングをする人間の1人として、このマークの存在は少し気持ちを楽にしてくれる。とはいえ、もともとの車幅に表示しているだけなので、自動車の運転手がどの程度意識してくれるかはいま1つ定かではないのだが・・・。視覚的効果に期待したいところだ。

いずれにせよ、サイクリングは安全に楽しみたい。可能であれば、自転車専用道路のある場所で新緑の中を走ったり、湖畔を爽快に走ったりしながら。コロナ禍によりさまざまな制約の中で生活を送らざるをえない今、リフレッシュのために屋外へ飛び出そう。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

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