コラム
株式会社 ブレインスイッチ
代表取締役 壁山 恵美子
ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載はそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「強みを活かすストレングス・マネージメント」についてお伝えします。第10回目のテーマは「自分の行動は普段から“強み”を無意識でも使っている」になります。
季節の早まりを感じる2021年
7月を迎え、早くも1年の半分が過ぎましたね。2020年と同じく緊急事態宣言が発令された地域もあり、特措法に基づくまん延防止等重点措置の状況下、皆様はいかがお過ごしでしょうか。暑さがピークを迎え、マスクをしていると息苦しい時期でもありますが、心身ともにバランスを整えて乗り切っていきましょう。
私は仕事柄、外出をすることが多いほうなのですが、講座やセミナーのない週末は、家庭菜園をしております。今から10年ほど前、最初に買ったのはイチジクの苗木でした。片手でつかめるくらいの小さなポットに細い枝がまっすぐ一本立っているような苗木で、特に彩りがあるわけでも、趣があるわけでもない見た目でしたが、好きな果物なので「いずれ実をつけたら良いな」と思いながら購入したのを覚えています。しかし、1年経って区画の土深くまで根が張り、2年経って枝ばかりが伸び、3年経っても実1つならず─結局、実がなり始めるのに5年、収穫できるまで8年かかってしまいました。「桃栗3年、柿8年」とことわざにあるように、何事も簡単にはいきませんね。
そのイチジクも今や、「あの細かった苗木がこうも大きくなるのか・・・」と感心するほどの成長ぶりで、家庭菜園のスケジュール管理にも一役買ってくれています。3月に芽吹き始めたら、冬の雑草取りを開始。枝全体の葉っぱが、しっかりとした緑で生い茂る頃には土の耕し時期で、4月から5月初旬にはトマトなどの苗木を植え始めます。そうして5月を過ぎると、小さな緑色のきれいな実の粒が枝につき始めるのです。ところが、今年はその周期がなんだか合わず、4月の時点で緑色の小さな粒が枝に生え始めて、5月には中くらいの実に成長してしまいました。本来はこのサイズの実がなり始めるのは、6月か7月頃なので、2ヶ月以上もずれがあることになります。思い返せば、今年は桜の開花も早く、あっという間に暑くなったような気がします。ここ数年の肌感覚としても、明らかに春が短くなり、冬から夏へ移行する速度が早まっている感じがしますよね。ぜひ、皆様もコロナに気をつけるだけでなく、季節の変化で体調を崩さぬよう、心身ともに整えてコントロールしていくことを大切に過ごされることを願います。
「公平性」という資質
ここからは、今日の話の本題に入ります。クリフトンストレングス34の資質の中に、「公平性」というものがあります。「公平性」はクリフトンストレングスの4つの分野「実行力」 「影響力」「人間関係構築力」 「戦略的思考力」 の 分類のうち、「実行力」に類する資質です。「公平性」とは、ある一定のルールを遵守し、人や物事を公平に扱おうとする資質で、この資質を持つ人はあらゆる人々を平等に扱おうとします。また、その実現に一定のルールが必要であると考えるため、時に現実の関係性や人それぞれの価値観よりもルール優先で動いてしまい、融通が利かないと思われがちです。特定の人をえこひいきすることや不正行為が行われることも嫌います。
また、ルールがない場合には、皆が公平になるようなルール決めをしようと考えるケースが多いです。「公平性」の資質を持つ人にとっては、ルールは全員を公平に扱うために不可欠であり、そのための努力をしているととらえれば良いでしょう。
ルールを重視することから、決められた手順で物事を繰り返すことが得意という面もあります。全体を見渡して公平であろうとするため、全体最適化を考えることも得意です。そのため、前述したルール決めだけでなく、業務手順や工程などを考える仕事にも適任と言えるでしょう。
自分の行動は普段から「強み」を無意識でも使っている
ちなみに、私は「公平性」の資質は20位なので、強みでも弱みでもない中間の資質と言えるのですが、そんな私でも、「公平性」が強く出たと思えるエピソードがあります。私は、父、母、姉との4人家族で育ちました。戦時中にぜいたくができなかった過去があるからか、父は仕事の帰りによくどら焼きやまんじゅうといった餡子入りのお菓子を買ってきて、皆に食べさせてくれたものです。しかし、父が買ってくる和菓子の数はだいたい6個で、4人家族なのに何で6個なのだろうと幼い私は不思議に思っていました。時折、いろいろな種類を買ってくる時も10個で、これまた4人で割り切れない数。当時から、私はその場にいる人数で割り切れないものが嫌いでした。4人なら4個であってほしいし、1人2個づつにするなら8個必要です。だから、「6個しかないなら、1人1個半ずつなのだ!」と勝手に頭の中で、分けるべきもののすべてを割り算して考えていました。これが、私の中での「公平性」の資質なのではないかと思っていたのです。
大人になって多少はおおらかになったものの、この平等精神というか公平精神は今でもまだ、私の中に確かにあります。だからこそ、自分の「公平性」が20位の中間資質であるということを不思議に思っていました。自社で開催するセミナーや講座でも、「参加者様、受講者様の全員の質問に満遍なく答えよう」「その場で回答できないことは後からでも必ず全員に回答しよう」とずっと考えてきましたから。
しかし先日、同じクリフトンストレングスのコーチをする仲間にこのことを話したところ、それは「公平性」というよりも同じ「実行力」の分野にある「達成欲」が強く出ているのではないか・・・という話になったのです。私の場合、「達成欲」が上位資質、それも3位になっていることから、平等に、公平にえこひいきをせずに物事を分ける、という20位の「公平性」が目立っているのではなく、同じ分野の上位資質「達成欲」がその均等割にしたいという行動を促しているのではないかということです。
「達成欲」の資質を持つ人はタスクを完了することが好きで、その達成により満足感を得るため、高いモチベーションで事を成し遂げようとします。私は、おまんじゅうを全員に公平に食べてもらいたいというより、「物理的にそこに存在している人すべてに公平に行き渡らせる」というタスクを完遂したいという「達成欲」で、行動をしているのかもしれませんね。
となると、「公平性」が20位であることにも合点がいくと同時に、資質は単純ではないな・・・と改めて実感させられます。このことからわかるように、自分の行動は普段から「強み」(上位資質にあるもの)を無意識でも使っているのです。もしかしたら、皆様も職場で、自分はこうかな・・・と思っていることが、実は無意識で別の資質を使って行われていることだった、ということがあるかもしれないですね。
次回も普段の業務で活用するために、ストレングスを使ってどういった資質の生かし方ができるのかをお話ししていきたいと思います。
ご興味のある方は、書籍もお勧めではありますが、まずは、クリフトンストレングス・テストでご自身の資質を知り、「強み」を活用するための基礎づくりをされることをお勧めいたします。
【参考】
GALLUP クリフトンストレングス日本語サイト
URL https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja
壁山 恵美子(かべやま えみこ) 株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役 YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン) Chief Information Officer(CIO) イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。 ※保有資格 ・Gallup認定ストレングスコーチ ・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター ・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター ・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許 URL https://brainswitch.jp/ 個人Webサイト https://kabeyama.jp/ Facebook https://www.facebook.com/kabeyama/ Instagram @kabeyama Twitter @Kabeyama_Emiko 個人事業主様のためのビジネスオンラインサロン 「Kabeyama Biz&Life Academy」を開催中。 ご希望の方はメール等でお問合わせください。 |
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