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コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアのオリジナルグッズ開発を手がける、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。今回のテーマはずばり、「虫」だ。大自然の中でレジャーをしていると、さまざまな虫と遭遇する。そんな虫たちとの共存共生と、危害を及ぼす可能性のある虫と出会った際の対処法について、同氏が実体験をもとにじっくりと解説していく。
 

◎「虫」は地球上では大先輩

季節はすっかり夏。多くの方がアウトドアを楽しんでいることと思う。ただ、この時期には他の生き物も活発に活動しているので、中には“厄介者”扱いされる生き物もいる。その中でも、特にどこにでもいるのが「虫」系だ。虫が苦手な方は、それを理由に夏のキャンプやアウトドアを控えるケースも多いだろう。ただ、「虫」と一言で言っても種類は多種多様で、子どもたちに好かれるカブトムシやクワガタムシから、存在そのものを怖がられるゴキブリ、蜂や蚊をはじめ人体に直接危害を加える虫など、挙げ始めるときりがない。そこで今回は、虫と共存しながらアウトドアを楽しむことについてお話ししてみたい。

今回のコラムを執筆するにあたり調べてみたところ、「虫」という字はもともと蛇をかたどった象形文字だそうだ。言われてみると、例えば腸の「虫垂」も蛇に見えないこともない。歴史的に見ても、虫は私たち「ヒト」よりずっと大昔から存在している。ゴキブリは2億5千万年以上も前からほとんど姿を変えない“生きた化石”であり、地球上では大先輩である。そう考えると、その大先輩達と一緒に生きていく道を探すことが大切なのではないだろうか。

◎人に危害を及ぼす可能性のある虫とその対処法

先ほどもお話ししたが、カブトムシやクワガタムシは子どもたちに大人気だ。虫の中でも好かれている虫たちだ。他にも、ゲンゴロウや水カマキリといった水生昆虫も飼育対象になることがある。私自身、子どもの頃だけでなく大人になった今でも、カブトムシを捕まえに行くなんてことになったら思わずワクワクしてしまう。それでも、苦手な人にとってはすべてが「恐怖」や「気持ち悪い」対象になりえるのだろう。そもそも、関節がクニャクニャと動くこと自体に苦手意識を持つ人も多い。虫からすると、何の危害も加えないのに見た目だけで嫌がられるのは、なんともやるせない気持ちになりそうではあるが・・・(笑)。

一方で、虫の中でも人体に直接危害を及ぼす可能性のあるものは、私にとっても怖い存在だ。とりわけ恐ろしいのは、やはりスズメバチだろう。幼少時代は、カブトムシを捕まえに行くと必ずと言って良いほど遭遇していた。樹液に集まる虫たちに混じって徘徊しているのだ。そんな時はとにかく頭を下げて、こっそりとその場を通り過ぎたものだ。スズメバチの巣を専門家が駆除する映像をテレビなどでもよく見るが、巣を刺激すると中から一斉に蜂が出てきて、巣に危害を加えようとする敵に次々と突撃しては刺そうとする。強力な毒はアレルギー反応を引き起こし、時に人の命を奪うこともある恐ろしい虫だ。

ところで、「スズメバチは巣を再利用しない」ということはご存知だろうか。女王バチは春先から単独で巣をつくり始め、少しずつコロニーを拡大し、新しい女王バチを育てると秋には死んでしまう。働きバチたちも死に、冬には巣はもぬけの殻となる。そして、土の中などでただ一匹、冬を越した女王バチが次の春に新しい巣をつくるのだ。

人にとって、スズメバチが最も危険な存在になるのは、女王バチが産卵を始めて巣が急速に拡大する8~10月頃。この時期は巣を守ろうとする意識が特に強く、外敵には敏感に反応する。逆に、巣や餌場に近付きさえしなければ、被害に遭うこともないだろう。もし、スズメバチが近くを飛んでいるときにこちらを威嚇するような行動(カチカチと顎を鳴らしたり、その場でホバリングしてこちらの動きをうかがったり)をしてきた場合は、静かにその場を離れるようにしよう。

その他、危害のある虫で身近なものは蚊やアブ、マダニなどのいわゆる吸血系の虫が挙げられる。これらは感染症を媒介している可能性もあるので、小さくともしっかり注意を払いたい。最近は忌避剤も虫ごとに最適な製品があるので、自分の行く場所に応じて準備しよう。

◎高タンパクの昆虫食について

共生、という考え方からは少し外れるかもしれないが、虫たちとの関わり方という意味で、「昆虫食」についても触れておきたい。近年は一部の人の間でかなり流行していると聞く。「虫を食べるなんて・・・」と思われるかもしれないが、日本では昔からイナゴを佃煮にしたものを普通に食べる文化があるし、蜂の子なども一部の地域では貴重なタンパク源として一般的に食されている。さらに世界へ目を向ければ、もっと多種多様な虫が食されているのだ。とはいえ、いくら栄養価が高くても、そのままの姿で食べるのは厳しいという人がほとんどだろう。あるいは、「本当にこれしかないなら」と非常食的な位置付けをしているかである。しかし、最近はパスタやプロテインバーなどに加工されている食品も増えてきており、都内には昆虫食の自動販売機まであるので、先入観にとらわれず、ぜひ一度はチャレンジしてみてもらいたい。

◎まとめ

自然界は弱肉強食とは言うものの、人間もそんな自然界の一部。共存の世界を探し求めることは忘れないようにしたい。もちろん危害を及ぼす虫にはそれなりの対処が必要だ。しかし、何もしてこない、もしくは人間に危害を加えられそうになって初めて、自己防衛で人間を攻撃する虫も少なくない。むしろそのケースが多いだろう。先述のスズメバチだって、攻撃をするために巣をつくっているわけではなく、自分たちの子孫を残すために自分たちの生活を営んでいるにすぎない。
いろいろ考えると、「害虫」という呼び名は人間の都合でしかない。虫が生きていく上では逆に、人間は「害人」なのだろう。そういう意味では無駄な殺生はせずに、また、怖がるばかりではなく、少し虫のことを知って仲良くなってみるのもよいだろう。童謡『手のひらを太陽に』の歌詞にあるように、みんな生きていて、みんな友達なのだから。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

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