コラム
考えても考えても答えが出ない時がある。もはや為す術なしか──と諦めかけた瞬間、想像だにしなかった着想を得ることがある。これこそが「ハイヤーセルフ」だとポジティブ・エナジャイザーの髙島真太郎氏は言う。これをただの「奇跡」に終わらせてしまわず、着想を頻繁に得られるように訓練していくことが、成功への道のりを拓くことにつながってゆく。訓練は決して簡単ではないが、物事は対価交換だ。費やしたエネルギーの分だけ、希望は得られる。
前回、「ハイヤーセルフ」という考え方を教えてもらった。ハイヤーセルフを身につけるためには、脳や心にスペースを空ける必要があり、ハイヤーセルフに入れば、過去や未来の自分から送られたサインをキャッチできると。
ハイヤーセルフ=無意識領域のことを私たちは「宇宙クラウド」とも呼んでいます。例えば、クラウドストレージと言えば、インターネット上にあるストレージのことですよね。自分のパソコンにデータがなくても、クラウドストレージにアクセスすれば、データやアプリケーションサービスなどを利用することができます。しかし、サービスを利用するには当然ながらクラウドストレージへのアクセス方法を知っておく必要がありますよね。宇宙クラウドも考え方は同じで、その領域にアクセスできる人だけが、クラウド内にあるサインを手に入れることができるのです。
そのサインというのが、成功のためのヒントなのだ、と。
その通りです。ハイヤーセルフは過去や未来の自分がくれるヒントだとお話ししましたが、宇宙クラウドには他人の過去や未来も格納されています。自分が経験したことのない出来事に遭遇しても、宇宙クラウドの中には先人の経験値が詰まっている。その経験値からヒントを得ることができるんですよ。
仮に自分が、未だ経験したことのないピンチに追い込まれたとしても、経験者から窮地を脱する方法をアドバイスしてもらえる、と。実際に助言を乞うわけではなく、解決方法が湧き出るようなイメージだろうか。
奇跡的な成功を収めたときに「神が降りてきた」と冗談めいた言い方をすることがありますが、まさにそれがハイヤーセルフにつながった瞬間です。凡人にとっては千載一遇のひらめきであっても、ハイヤーセルフを使いこなせる人なら頻繁に降臨する。だからこそ成功を手に入れられるんです。
世の中には輪廻転生を信じる人もいるし、信じない人もいます。しかしこの世に、不幸になるために生まれてきた人はいないでしょう。結果的に不幸になることはあっても、最初から不幸を望んでいる人はいない。幸せになりたいなら、ハイヤーセルフを使いこなせるよう、訓練すべきだと思います。
ハイヤーセルフを身につけた人は、どのような訓練を積んで、その領域にたどり着いたのだろうか。
何年もヨガを続けてたどり着いた人もいれば、呼吸法や瞑想を続けた人もいます。訓練方法は様々ですが、一概に言えるのは「右脳」を開発するということですね。そして、自分を俯瞰する力を持つことです。
自分を俯瞰する──。
自分の目で、自分を俯瞰することはできませんが、自分というキャラクターを自分が操作していると考えればいいんです。こんな話があります。我々が住んでいるこの世界は、どこかの宇宙人が創り出したゲームの世界で、人間はそのゲームに登場するキャラクターなのだと。簡単にゲームをクリアしては面白くないから、様々な障害が起こるようにプログラミングしてある。そしてそれを回避するよう誰かがキャラクターを操作している。そう考えれば、自分の身にふりかかるアクシデントも、「いつか乗り越えられる」とは考えられませんか?
確かにそうかもしれない。人間はアクシデントに遭遇すると、ストレスを感じたり、思い悩んだりするが、ゲームの主人公が敵キャラに遭遇しただけだと考えれば、どこか心が軽くなる。
軽く考えることはよいことです。軽いと意識も周波数も通りやすくなるし、発想の転換もしやすくなる。水は溜まっていると腐りますが、流れている水は腐らない。軽く動くことが大切です。
時代の転換点を迎えたと以前にお話ししました。組織の時代から個の時代へ。物質の時代から意識の時代へ。頑張れ、歯を食いしばって頑張れという昔の考え方では、これからの時代の成功者にはなれません。楽に生きる。自由に軽やかに。そうすれば、自分のしたいことができるようになります。
失敗も重く受け止めず、軽く考えていきましょう。どんどん経験すればいいんですよ。「失敗」という字は、敗れることが失われると書きます。つまり、失敗を経験することによって、敗れることは次第に失われていく。失敗をすることによって次の成功確率は高まります。失敗をすることが、逆に失敗をしないことにつながっていくんです。
失敗の数だけ成功も訪れる。そう考えてよいのだろうか。
物事は等価交換です。使ったエネルギーの分だけ、希望や夢を手に入れることができる。費やした熱量、費やした行動、費やした想い、それが大きければ大きいほど対価も大きくなります。労せず大きな成功を掴んだ人などは、逆に何かを費やさなければよくない方向に向かってしまう。宝くじが当たって偶然に大金を得た人の人生が狂ってしまったという話を聞くことがあります。あれは「お金の出口」を意識しなかったからです。
お金の出口──本コラムの第3回で聞いた。駅のどの出口を利用するかによって行き先も見える景色も違う。お金にも出口があり、どの出口を利用するかによって未来が変わると。
お金で高級車を買うのもいい。でも、ハイヤーセルフを手に入れるためには、等身大の自分である必要があります。高級な衣服で着飾った人は、まずはそれを脱ぐことから始めなければなりません。丸裸の自分を俯瞰してこそ、宇宙クラウドへアクセスすることができるんです。
私は今、チルケーション(Chillcation)という活動を行っています。チルアウト(chill out)という言葉がありますが、これは落ち着く、ゆっくりするという意味です。フィーリングが合う人たちとゆっくり会話を楽しんだり、シーシャを楽しんだりする中で、自分のオリジナリティをみつけたり、脳や心にスペースをつくったり。大人の学びというとセミナーやワークショップのイメージがありますが、教育はそういうものだけではないと思うんです。くつろぎの中でこそ出せる本音もあり、本音を出すことで、またはそうした本音を聞くことで人は成長できると思っています。
以上、合計7 回にわたって話をしてきました。受け止め方は人それぞれあると思いますが、これをひとつの縁として、生き方の参考にしていただければ幸いです。もし価値観を共有できる方がいれば、大阪に遊びに来てください(笑)。
語り手 髙島 真太郎 WORLD JOYOUS LIFE 合同会社CEO。 建築設計の業務を営んでいたが、多くの経営者と出会う中で、セールスエージェント業務に着目。若い営業職を支援するコミュニティ作りに注力する。 |