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コラム

キャリアコンサルタント森ゆきの働き方改革の進め方No.13

ベテラン人材を介護のために失わない、
介護離職を防ぎましょう!

なかなか終息の見えないコロナ禍。多くの企業が、新しい働き方を模索しています。こんな不安定な時に会社を支える人材として、自社で長く勤めてくれている従業員の存在感が増しているのではないでしょうか。今回のコラムでは、そんなベテラン従業員を、介護を理由に辞めさせないための介護離職防止について書きたいと思います。

◆ コロナ第3波の襲来、働き方を見直す機会に

本コラムの連載をしている、キャリアコンサルタントの森ゆきです。日頃は、企業の従業員向けに、研修やキャリア面談、コーチングなどを実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。

コロナ第3波の襲来で、2021年も年明けから緊急事態宣言が発令されるなど、企業にとっては安定して事業を営むのが難しい日々が続いています。出社や人との接触が制限される中、働き方改革が強制的に進んでいると言っても良いでしょう。このような変化の大きい中では、自社に長く貢献し続けてくれているベテラン従業員、特に大切にしたいですね。今回は、ベテラン世代の課題である、仕事と介護の両立について解説します。

◆ ベテラン世代を襲う、介護への不安

高齢化が進む日本社会において介護を必要とする人、すなわち要介護(要支援)認定を受ける人の数は年々増えています。厚生労働省の資料によると、要介護(要支援)認定を受けた人の数は2000年4月末では約218万人だったのが、2018年4月末には約644万人と、18年間で実に3倍になっているのです。

介護を受ける人の数が増えれば、当然、介護をする人の数も増えますよね。政府は「ニッポン一億総活躍プラン」の中で「介護離職ゼロへの取り組み」を提唱し、介護保険制度や、育児介護休業法の整備などに力を入れてきています。しかし、介護離職(介護をすることを理由として仕事を辞めること)の人数は年間約10万人おり、その数はなかなか減りません。このうちの半数以上を40代~50代の働き盛り層が占めており男性の介護離職者の比率が高くなってきている傾向があります。

ほぼすべての人が、働いている年齢のうちに親や配偶者の介護に直面する時代です。自社の大切な従業員が介護者(介護をする人)になった時に、仕事と介護を両立できる環境を整えることは、企業にとって必須となっています。

◆ 介護離職防止に必要な「介護の基礎知識」

介護は突然始まるのです。ある日突然、親がケガや病気で歩けなくなったり、認知症であることが発覚したりします。そうなった時に、どこに相談すればいいのか?どこにどのような申請をすると、どんな支援を得ることができるのか?介護者にとっては、どのような休業制度があるのか?休業中のお金はどうしたらいいのか?などについて、基本的な知識がある人とない人とでは、選択肢の幅が違ってきます。

日本には、高齢化社会への対策として、介護離職をせずに仕事を続けていくためのさまざまな制度や支援サービスがあります。知識があれば、それらを十分に活用しながら仕事を続けていくことが可能です。しかし、そういった社会制度を知らないと、自分の親や配偶者が自立した生活ができなくなった時に、「自分が仕事を辞めて世話をすること」しか、選択肢が見えなくなってしまいます。突然の介護が始まる前に、介護に関する基本的な知識をつけておくことは、とても重要なのです。

◆ 両立に役立つ「介護保険制度」と「育児介護休業法」

家族が要介護認定を受けると、公的な介護サービスを利用することができます。例えば自宅で介護をする場合、介護サービスの職員が自宅に訪問をして介護をしてくれたり、入浴の介助やリハビリをしてくれたりするのです。また、日中だけ施設で過ごすデイサービス、デイケアや、何日か連続で宿泊できるショートステイもあります。介護者が出張で数日間不在にするようなことがあっても、ちゃんと預かってくれる仕組みがあるのです。このような公的介護サービスの自己負担金は1~3割で、残りは介護保険から支給されます。利用することのできるサービスは、利用者の要介護度(1~5)によって異なりますので、専門家とよく相談しながらプランをつくりましょう。まずは地元の地域包括支援センターに相談すると良いと思います。

また、仕事をしている人が家族の介護のために仕事を休む必要のある時は、育児介護休業法で定められている介護休業を取得することができます。通算で93日間を3回までにわけて休むことができるのです。介護休業中は、介護休業給付金を受け取ることもできます(※給付金の受け取りには、雇用保険に加入していることなど、いくつか条件があります)。家族の介護に直面した時は、介護休業を活用して「介護の体制」をつくってみてください。そして、平均で約5年続くと言われている介護期間中も、仕事を辞めずに続けていきましょう。経営者もぜひ、従業員が長く仕事を続けることができるよう、仕事と介護の両立を支援してあげてください。

企業向けの『仕事と介護の両立研修』を実施している他、オンライン研修やビデオ動画制作も対応しています。ぜひご相談ください。

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■プロフィール
森 ゆき(もり・ゆき)
 
22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。
 
▼ 保有資格
・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111)
・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース)
・女性労働協会 認定講師
▼ 著書
『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』
(2019年5月出版)
『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』
(2019年5月出版)
『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』
(2018年6月出版) 
▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ]
https://www.mycareer-lab.co.jp/
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