コラム
ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載ではそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「現場でのコミュニケーション術」をお伝えします。第3回目のテーマは、ミレニアル世代が求めている評価とコミュニケーションについてです。
世代間ギャップに現れる「評価」への考え方の違い
2020年の時点で40代以上のマネジメント層の皆様は、「評価」と聞くとどのような印象をもたれるでしょうか?
一般的に企業内での「評価」というと、「年次・半期ごとの評価」「特別報酬やボーナス査定」といったものに直結する、業務成績に対する評価をイメージする方が多いかと思います。また、昇進の有無を決定付ける目的で、年に一回程度行われる部下との面談におけるコミュニケーションも、「評価」といえるものです。
しかし、「ミレニアル」と「ポストミレニアルのZ世代」が考えている「評価」は、40代以上のマネジメント層の皆様が捉えているものとは異なる傾向にあります。彼らにとっての「評価」とは、「良し悪し」をつけるようなものでも、点数やABCといった段階評価で判断するものでもありません。
では、彼らはどんな「評価」を上司に期待しているのでしょうか?今回は、この点について考えていきます。なお、このお話の前提となる世代別の区分やギャップ、異なる価値観などの理解については、第2回コラムをご覧ください。
求められているのは、日常のコミュニケーションの中での「評価」
彼らが求めている「評価」は、決して大げさなものではありません。日々の業務において発生する身近なものなんです。具体的に申し上げると、彼らが気にしているのは、何らかの業務を実行して上司に報告をした際に、その結果がどうであるか、上司がどう確認して、どういうコメントをしてくれるのかということです。
彼らが考える「評価」について、少し職場の状況から離れて考えてみましょう。そこにはヒントがあります。
現在は、まさに「検索」の時代です。彼らが生まれたときには、すでにインターネットが普及し始めていました。そのため、何かわからないことがあれば「Google先生に聞く」という言葉が流行ったように、何でも「検索」によって解決策を求めることが当たり前となっている世代です。
ここから言えることは、彼らはすぐに「結論」や「解決策」を知りたがる傾向があるということ。つまり、彼らはある一つの業務を遂行した後、その行動や実施内容についての「コメント」を必要としています。
第2回コラムで“ミレニアル世代は、上司と部下という縦のつながりではなく、「チーム」や「横のつながり」という考え方を持っています”と述べました。さらに、働くことに対する動機付けとして「Why(なぜ、それをやるのか)」、つまり「働く(目的)」を重視する傾向があります。
そこからひも解いていくと、彼らは自らが実行した、あるいはこれから実行する業務内容に関してアドバイスを受けたいと考えているといえます。「自分の成果物をより良くするためにどうブラッシュアップしていけば良いか」「自分がスキルアップするために、どこを伸ばしたら良いのか」上司から聞きたいわけです。すなわち彼らの考える「評価」とは、マネジメント層の皆様の感覚からすると「アドバイス」と呼ばれるものといえます。
日々の「評価」として重要となるコミュニケーション
そこで、日々の「評価」となる「アドバイス」に関して、マネジメント層は彼らに対して丁寧に向き合ってコメントを行うことが、一つの良好なコミュニケーションになります。上司から率先して、「この作成資料はすごく良くできている」「先ほどの判断は非常に良かった」「こうしたほうがより望ましいと思う」といったやり取りをすることが大切です。彼らのコーチであるかのようなアドバイスを含めたコメントこそが、「評価」と同様の意味をもっていくわけです。
また、上記のようなコミュニケーションは都度行われたほうが望ましいです。「後で見ておく」という返事は良くありません。部下の報告に対してノーレスポンスということがないように心がけていくと、良好な人間関係やチームづくりになっていくでしょう。
円滑なマネジメントを行うべく、ささいな「評価」を実践しよう
私自身も「ミレニアル世代」と接する際には、普段からなるべくその場で何らかの反応をするなどして、コミュニケーションを取ることを心がけているんです。一つひとつの対話を大切にすることで、マネジメントがとてもうまく回りだすと実感しています。
ぜひ皆様も、本コラムをお読みになった今日から、部下との対話でささいな「評価」を実践することを心がけてみてください。そのちょっとした気遣いで、ご自身のチームが円滑に回りだします。結果として、良好なコミュニケーションが生まれるだけでなく、業務効率や生産性も向上し始めることでしょう。
第3回はここまでです。次回はこれに続けて、私が実践しているコミュニケーションについてのお話をしていきたいと思います。
ご質問、ご相談をいつでもメールで受け付けしています。いただいたご質問はできるかぎりコラム内でお応えしていきたいと思いますので、お気軽にご連絡ください。ご意見・ご感想もぜひいただけると幸いです。少しでも皆様のお役に立てるコラムにしていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
壁山 恵美子(かべやま えみこ) 株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役 YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン) Chief Information Officer(CIO) イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。 ※保有資格 ・Gallup認定ストレングスコーチ ・一般社団法人マザーリングマネジメント協会 認定ティーチャー ・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター ・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター ・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許 URL https://brainswitch.jp/ 個人Webサイト https://emikokabeyama.com/ Facebook https://www.facebook.com/kabeyama/ Instagram @kabeyama Twitter @Kabeyama_Emiko 個人事業主様のためのビジネスオンラインサロン 「ビジネス相談室」を開催中。 ご希望の方はメール等でお問合わせください。 |
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