コラム
新型コロナウイルス騒動がもたらした恩恵とは?
2月から話題が大きく広まった、新型コロナウイルス騒動。当初は、こんなにも日本経済にダメージを与えるとは誰もが思わなかったことでしょう。しかし、多くの損害が生じている一方で、実は恩恵もありました。今回は、新型コロナウイルス騒動で日本の社会にもたらされた、ポジティブな影響について解説します。
◆ 新型コロナウイルス騒動、多方面でのダメージ
こんにちは。本コラムの連載をしている、キャリアコンサルタントの森ゆきです。日頃は、企業の従業員向けに、研修やキャリア面談を実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。
2月に突如として始まった新型コロナウイルス騒動により、数ヶ月にわたって社会が混乱しています。イベントや集会が中止になったり、店舗の営業もできなくなったりしました。人々の移動も制限されたので、旅行や宿泊に関連する事業にも、影響が大きかったことでしょう。また、卒業式、謝恩会、送別会など花の消費が盛んになる行事の開催がなくなったことで、生花業界にも大きな影響があったそうです。どの業界も、一日も早く元の経営状態に戻ることを、心より祈っております。
私自身の仕事への影響はどうであったかと言うと、3月中に登壇を予定していた企業研修のほとんどが中止になりました。私だけでなく、多くの企業研修の講師たちが同じように、「3月中の仕事は全部キャンセルになってしまった」と話しており、厳しい状況です。しかし、企業にとっては「研修をやっている場合ではない」という状況だったということなのでしょう。ご苦労をお察しいたします。
◆ 日本の社会にとって、恩恵もあった
新型コロナウイルス騒動で大変だったことを挙げればきりがありません。しかし、何か私たち(日本社会)にとって良かったことはなかったか?と考えてみてください。私は下記の2つの恩恵があったと感じています。
新型コロナウイルス騒動の日本社会への恩恵
1:多様な働き方が一気に進んだ
2:会社と従業員とのエンゲージメントを高める機会となった
1点目からご説明します。これまで、日本の企業で働く人の多くは、「事業主が提供した仕事場」で働いていました。ただ、今回の騒動を機に、大手企業を中心とするたくさんの企業が従業員の働き方を「在宅勤務」や「テレワーク(自宅にも限定せず、働く場所を定めない働き方)」に切り替えたのです。従業員の中から感染者が出たことで社内の従業員全員が外出禁止となり、やむを得ず在宅勤務の指示を出した企業もありましたよね。
そもそも、海外では以前からテレワークが広く活用されており、日本はかなり遅れをとっていました。それは少なくとも、「会社に長くいる人が、仕事を頑張っている人」として評価される風潮があったからでしょう。また、テレワークを導入するためには、就業規則など労務管理の変更や、人事評価に対する考え方を変える必要があります。そのため多くの日本企業は、テレワークをいずれは導入すべきだと考えていたものの、なかなか始められずにいたのです。しかし今やっと、一歩踏み出すことができました。突発的な始まり方ではあったものの、日本人の働き方を変える画期的な出来事であったと言えます。
◆ 経営者の努力は、従業員の心をつかんだはず
新型コロナウイルス騒動の恩恵の2点目は、「会社と従業員とのエンゲージメントを高める機会となった」ということ。エンゲージメントとは“お互いに相手を必要として信頼関係を深め合う”という意味です。今回の騒動の前は、労働市場はかつてないほどの売り手市場。企業は人手不足に悩み、従業員の離職を止めたいと必死でした。それに対して従業員は、より良い条件の会社に転職するのが当たり前となり、一つの職場で困難を乗り越えながら長く勤め、組織を発展させていくという意識が希薄になっていました。
今回の騒動で、従業員の方々は「雇用されていることの安心感」「仕事がもらえることのありがたさ」「毎月給料が振り込まれることの安定感」を心から実感したのではないでしょうか。多くの企業で経営にダメージが生じた中で、従業員の雇用を守るために経営者が努力をする姿は、従業員にきっと伝わったと思います。
◆ 従業員のモチベーションの再構築を
新型コロナウイルス騒動によって、気持ちが下向きになったり、仕事に対する意欲や自信が低下したりしている従業員もいるかもしれません。従業員のメンタルケアとモチベーションの回復には、全員参加のキャリアデザイン研修がおすすめです。みんなで会社の未来をつくっていきながら、自分のキャリアも充実させていく。会社と従業員が一体となって事業の発展に取り組む気持ちを高めます。従業員の研修をご検討の企業様は、ぜひご相談ください。頑張る企業を応援しています!
森 ゆき(もり・ゆき) 22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。 ▼ 保有資格 ・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111) ・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース) ・女性労働協会 認定講師 ▼ 著書 『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』 (2019年5月出版) 『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』 (2019年5月出版) 『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』 (2018年6月出版) ▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ] https://www.mycareer-lab.co.jp/ https://www.facebook.com/Yukimori.Careernet/ ▼ メールアドレス yuki.mori@mycareer-lab.co.jp |
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