コラム
男性の育休、あなたの職場では?
最近、よく耳にする「男性の育休」。政府は、2020年の男性従業員の育休取得率を13%にする目標を掲げています。2020年3月時点では、まだ目標値には達していません。しかし、男性の育休取得率は年々高くなってきています。皆さんの職場では、男性従業員の育休へどのように対応していますか?今回はこの話題を解説します。
◆ 男性育休の背景、この15年間で大きな変化が
こんにちは。本コラムの連載をしている、キャリアコンサルタント(通称キャリコン)の森ゆきです。日頃は、企業の従業員向けに、研修やキャリア面談を実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。今回のテーマは「男性の育休」です。
私は、20年以上にわたって会社員を続けていました。その中で、3回出産を経験し、その際には、育休も取らせてもらいました。
わが家の子どもたちは、末っ子ももう中学生ですので、私が最後に育休を取ったのは約15年前。その頃は、男性が育児のために長期の休みを取るというのは、特別な事情のある家庭でなければ聞かないことでした。
しかし、この15年間で状況は大きく変わりました。共働き世帯が増え、家事育児を夫と妻で分担をする家庭が増えています。食事をつくったり、保育園の送迎をしたりする若いお父さんの姿は、珍しくなくなりました。
さらに最近の5年間は、政府が女性の活躍推進に力を入れた結果、職場で活躍する女性が増えました。皆さまの職場でも、女性リーダーや女性の管理職などが、以前よりは増えているのではないでしょうか?そして、女性が家庭を持った後も活躍するために必要な、出産・育児に関する法律も、より整えられてきています。
そのような流れの中で、男性にも変化が出てきています。夫として妻の仕事を応援したい人や、父親として自分も育児に関わりたいと感じる人が増えているのです。政府も「2020年に男性の育休取得率を13%にする」と目標を掲げて、男性の育児参加を推進しています。
◆ 新入社員の男性の約8割が、育休を希望
(公財)日本生産性本部が、2017年度の新入社員を対象として実施したアンケート調査の結果では、男性新入社員の約8割が、「子どもが生まれたときには、育休を取得したい」と回答していることが明らかになりました。つまり、20代の男性にとって、自分が育休を取得して子育てをすることが、当たり前という意識になっているのです。15年以上前に子どもを持った世代の人たちとは、意識が大きく違うと言ってよいでしょう。
20代男性だけでなく30代の男性の間でも、育休取得や、時短勤務の希望が増加しています。「育休を取りたいけど、上司に理解してもらえない」「子どもが病気のとき、看病のために休暇を取りたい。でも、周囲から冷たい目を向けられてつらい」といったことは、かつては働く女性の悩みでした。しかし最近では、この悩みは30代の男性従業員から聞くことが多くなっています。30代と言えば、まさに子育てが忙しい年代。妻と対等に子育てに奮闘する男性たちが増えているのです。
◆ 育休取得がしやすい職場と許されない職場、選ばれる職場は?
40~50代の上司・管理職の方々からは、「男が育休なんて、とんでもない!」「自分に子どもができたときは、むしろ仕事の量を増やしたものだ!」という声がよく上がります。そうです。かつては、その考えが当たり前でした。でも、今は違います。20~30代の従業員に、「辞めずに長く働いてほしい」「モチベーションを高くして仕事をしてほしい」と望むのであれば、若い世代の人たちの意識を理解しなければうまくいかないでしょう。
前述したように、新入社員の男性の約8割が育休取得を望んでいます。育休を取得できる体制をつくり、子育てと仕事との両立ができるように支援をしていくことで、若手・中堅の従業員は「働きやすい職場だ」「従業員のライフの充実を支援してくれる会社だ」と感じることでしょう。結果、彼らにモチベーションを高くして働いてもらえるのです。
◆ うちでも男性育休始めるか!のお手伝いをします
「そうは言っても、男性従業員に育休を取らせた前例はないし、そもそも制度もよくわからない!」という職場も多いと思います。育休制度は何度か内容が更新されていてわかりにくいですし、最新の制度を理解している人は少ないかもしれません。
最近の育児休業制度では、両親が協力して育児休業を取得できるように、下記の特例があります。
1:パパ休暇(出産後8週間以内に取得した場合には、特例として再取得が可能)
2:パパ・ママ育休プラス(母親だけでなく父親も育休を取得する場合、1年間だった育休期間が2ヶ月延長できる)
「男性従業員に育休を取らせたいけれど、いろいろと心配があって踏み切れない!」という企業がありましたら、ご連絡ください!従業員がモチベーション高く働き続けられる職場づくりをサポートいたします!
森 ゆき(もり・ゆき) 22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。 ▼ 保有資格 ・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111) ・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース) ・女性労働協会 認定講師 ▼ 著書 『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』 (2019年5月出版) 『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』 (2019年5月出版) 『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』 (2018年6月出版) ▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ] https://www.mycareer-lab.co.jp/ https://www.facebook.com/Yukimori.Careernet/ ▼ メールアドレス yuki.mori@mycareer-lab.co.jp |
<< 森ゆきの働き方改革の進め方No.06 |森ゆきの働き方改革の進め方No.08 >>