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コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアスクールを開催する、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。年も明けて1月、読者の中にはお正月気分で家族や仲間と楽しいお時間を過ごされている方も多いかもしれません。そんな今回は、少し他人との関わりから離れてみて、ソロキャンプに出かけて脳を休めてみてはどうか、というお話です。
 

◎ 脳に休んでもらおう!

本誌の2019年9月号で「プチキャンプに行こう」というコラムを書かせて頂いた。今回はその1人版である。現代社会ではスマートフォンを利用すれば、どこにいても他人と連絡が取れる。それ自体は便利なことだ。しかし、誰にも邪魔されず1人きりで過ごすのが難しいとも言える。他人と連絡を取り続けていたら、その関りから解放されないわけだから、1人になって脳をゆっくり休めることができない。

大量の情報処理が必要な現代社会では、脳は常に疲弊しやすい環境にある。だからこそ、脳をリラックスさせることが大切なのだ。とはいえ、「休みの日に家でゴロゴロ」すれば良いというものではない。それでは体を休める効果はあっても、脳が休まらない。

私はよく天気の良い日に、コットというベンチ状の簡易ベッドに寝転がって青空を眺める。子どもの頃は青空を眺める時間が結構あったものだ。しかし大人になると、頭上にある青空を眺めてぼけ~っとすることは意識しないとやらないし、できないかもしれない。その時間こそが私は好きだ。余計なことを考える必要のない時間がなんとも心地よい。空の青色を眺めることは、脳にリラックス効果を与える神経伝達物質、セロトニンを分泌するのにも効果的だとされている。

そこで私が提案したいのが、脳の情報処理を最小限にしてリフレッシュするために、お一人様キャンプを行うことである。なぜなら、木々のざわめきや小川のせせらぎなどの「自然のゆらぎ」に触れることでも、セロトニンが分泌され、脳に十分なリラックス効果をもたらすからだ。

「アウトドアは大勢で行かないと楽しくないのでは」といった話も聞く。特にキャンプに1人で行くというと「なんで?」と反応する方も少なくない。でも最近は、女性のソロキャンパーも増えており、お一人様キャンプは男女問わず流行り始めている。道具も揃ってきているのだ。

1人の場合で決定的に違うのは、スケジュール調整の必要が「ほぼ皆無」ということだ。もちろん、世帯持ちの方は家族との予定調整は必要だと思う。実はそれが、一番ハードルが高いのだが(笑)。

いずれにせよ、休日に出かけることに対して家族の了解さえ得られれば、後は自分のためだけのスケジュールづくりで済む。自分が困らない程度の準備だけしておけば自由気まま。どのキャンプ場に行って、何を食べるか。それぐらい決めておけば十分だ。

「1人キャンプなんて気楽にできない」という方もいるかも知れない。だが、多くの道具を持っていく必要はない。最低限の荷物で楽しめばよいのだ。無理にテント泊をしなくとも、バンガローを借りてもよい。「せっかくだから、何かをしないと」と考えず、何も計画しないで「お一人様」を満喫してしまおう。なぜなら、今回はソロキャンプで「脳を休める」のがコンセプトなのだから。現地で行うことは必要最低限にしたい。

冬以外であれば衣類や暖房などの装備も軽装で済み、電車などでの移動も楽々である。車移動なら自分の好きなキャンプ道具を持って、好きなサイト設営をしてのんびり過ごしてもいい。自由に楽しめばいいのだ。

いつも忙しくしている方は、「そんなにゆっくりしすぎたら、頭がぼけちゃうよ」と思うかもしれない。でも、それぐらいがちょうど良いのだと思う。目まぐるしく働かせている脳を日常のストレスから解放してやることで、日々の疲れをリセットしてあげられるのだ。

ただ、安全面には当然気を付けたい。特に通信手段の確保は重要。キャンプ地の中には電波の届かないところもあるので、自分がどこに出掛けるかなどは事前に家族に伝えておこう。また、現地の地理や天候など周辺情報は十分にリサーチしておくべきだ。

◎ キャンプを通じて分かること

ソロキャンプをしてみると、分かることがある。1つは普段の家庭や会社での生活が“助け合い”で成り立っているということ。お一人様の活動は、全て自分の力だけでこなす必要がある。例えば、普段のキャンプではテントは他の人と一緒に立てていたので何となくできる気になっていたけれど、実際に1人で立てるとなると「あれ?どうやるんだ?」ということになるケースもあるだろう。

それぐらい、キャンプに限らず人間は普段、誰かと助け合って何かをしていることに気付かされる。だから、普段の生活が成り立っていることに、感謝を感じられるようになるのだ。

お一人様キャンプのメリットは他にもあって、キャンプ技術の向上につながる効果もある。もう一つ得られる効果としては、「独りに強くなる」ということ。独りに強くなるということは、助け合わなくても自分でできるということではない。独りに強くなることで、自分自身にも自信や余裕が出て、自分が仲間を助けることができるようになるのだ。

体だけでなく心の健康を保つことは、日常生活や仕事に好影響をもたらすはず。あなたも時間をつくって、「家でゴロゴロ」ではなく、「外でもゴロゴロ」してみよう。
 

 

■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

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