コラム
メンタルヘルス・マネジメント
自分を守る『セルフケア』
年々増加するメンタルヘルス不調者。早めに対処をしないと、うつ病をはじめとする精神疾患につながります。厚生労働省の調査によると、過労によるうつ病の労災申請件数は増加しており、年代別では30代が最も多いという結果が出ています。これからの大きな成長と活躍が期待されている若手人材が、仕事が原因でうつ病を発症しています。今回は、心の病を防ぐために、自分を守る『セルフケア』について解説します。
◆ 強いストレスを感じている人は約6割、男女に差も
こんにちは。コラムの連載をしている、キャリアコンサルタント(通称キャリコン)の森ゆきです。私は日頃、企業の従業員向けに、研修や面談を実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。今回のテーマはメンタルヘルス・マネジメントの『セルフケア』です。
厚生労働省が2012年に行った調査によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した労働者は約60%。この「強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した人たちを就業形態別に見ると、正社員、契約社員、派遣労働者はいずれも65%前後、パートタイム労働者は約45%となっており、就業形態にかかわらず、それぞれが強いストレスなどを感じていることが分かりました。
強い不安、悩み、ストレスの原因で最も多いのが「職場の人間関係」。上司や先輩、同僚、部下との付き合いが上手くいかずストレスを感じた経験がある人は、少なくないと思います。そして、2番目、3番目の原因が「仕事の質」「仕事の量」です。
さらに男女別の違いに注目すると、男性は女性よりも「会社の将来性」「昇進・昇格」が原因と回答した人が多く、反対に女性は男性よりも「職場の人間関係」「雇用の安定性」が原因と回答した人が多かったという結果です。いずれの原因も、自分の努力だけでは解決することが難しく、だからこそ大きな不安やストレスとなるのでしょう。
◆ 自分のメンタルヘルス不調のサインを見逃さない
自分のメンタルを守るためには、自分にとってのストレスの原因を知り、「心の疲れに気付く」ことが重要になります。これが、『セルフケア』の第一歩です。
人は強いストレスを抱えると、体や行動などに変化(ストレス反応)が現れます。下記は、代表的な変化です。
<「ストレス反応」で見られる変化>
・身体的反応:疲労、倦怠感、不眠、胃痛、下痢、めまい、動悸
・心理的反応:不安、怒り、緊張、イライラ、興奮、無気力
・行動的反応:遅刻、欠勤、仕事のミス、口論、酒やタバコの増加
こんな変化があったら、無理をしないで体を休めたり、人に話を聞いてもらったり、自分がリラックスできると感じられる環境に身をおくようにしましょう。心理カウンセラーや心療内科などの専門家を訪ねるのもお勧めです。
◆ ストレスと上手に付き合うスキルを身に付けよう
例えば「職場の人間関係に大きなストレスを感じる」場合、それでも職場には行かなければならないし、人間関係も断ち切る訳にはいきません。そんなときに有効なスキルが、「それをストレスと感じないスキル」です。
人は誰しも、「考え方のクセ(認知の歪みとも言う)」を持っています。自分を苦しめている考え方のクセを直すことで、今まで「許せない」「納得いかない」と感じて大きなストレスとなっていたことが、「そういう考えの人もいるのか」「必要最低限の関わりのとき以外は気にするのをやめよう」と思えるようになります。
考え方のクセを見直しても、どうしてもストレスを感じてしまう場合はどうするか?最も良いのは、必要以外のときには、ストレスの原因となっていることを忘れて過ごすことだと言われています。「いやそれも難しい!」と言う場合は、つらい気持ちを人にしっかりと聞いてもらったり、ストレス発散をして嫌なことを忘れる時間をつくったりして、自分の心を休憩させてあげましょう。
◆「良い仕事には、良いメンタル」のお手伝いをします!
従業員が大きなストレスを抱えている、人間関係がギスギスしている、そんな状態では、効率よく質の高い仕事はできません。働き方改革には、制度を整えると同時に、人の心に配慮をした施策が欠かせません。心身ともに健康に働けるからこそ、業務への意欲が湧いてくるのです。「良い仕事には、良いメンタル」が必要ですね。
従業員一人ひとりが、メンタルを健康に保つスキルを身に付けることが大切です。「メンタルヘルス・マネジメント~セルフケア~」の研修やカウンセリングが必要だと感じた際は、お気軽にお問い合わせください。
日経新聞電子版、日経BizGate『私の道しるべ』で取り上げられています。企業におけるキャリアコンサルタントの活用について、私が熱く語っている動画もあります!ぜひ、ご覧ください。 URL https://ps.nikkei.co.jp/myroad/keyperson/mori_yuki/ |
森 ゆき(もり・ゆき) 22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。 ▼ 保有資格 ・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111) ・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース) ・女性労働協会 認定講師 ▼ 著書 『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』 (2019年5月出版) 『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』 (2019年5月出版) 『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』 (2018年6月出版) ▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ] https://www.mycareer-lab.co.jp/ https://www.facebook.com/Yukimori.Careernet/ ▼ メールアドレス yuki.mori@mycareer-lab.co.jp |
<< 森ゆきの働き方改革の進め方No.04 |森ゆきの働き方改革の進め方No.06>>