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コラム

コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第4回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いといったさまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は、「海外進出のための事前準備」についてご紹介しました。今回は、「海外展開を進めていく上での方法」と題して、実際に海外展開をする際の進め方についてご説明します。
 

海外展開の進め方

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANY TANK」2018年3月号、本コラム連載第1回から第3回までが掲載されている5、7、9月号は、すでに目を通して頂けましたでしょうか?

第4回にあたる今号では、「海外展開を進めていく上での方法」──実際にどのような進め方をすれば良いのか?という部分にフォーカスを当ててお話しします。

当社は海外進出を目指す企業様のサポートを手掛けており、さまざまな業種の経営者の方から「どうやって海外展開を進めていけば良いですか?」といった質問を数多くお受けします。

進出国については、基本的に本コラムの第1回から第3回までに掲載されている具体的な検討項目を自社に当てはめながらまとめていき、その上で候補を複数選んだ後、最終選定していくのが良いでしょう。

しかしながら、海外展開を進めていく方法はそれぞれの進出国や企業ごとに異なってくるものです。以下に例を挙げます。

●海外での工場の立ち上げ

工場の建設には莫大な費用が掛かります。ですので、進出国の政治や経済、金融情勢、工場を建設する際の税制面、その他の部分で優遇措置が得られるか、インフラや輸送・保管手段が確保できるかなどを、最優先に確認することが必要です。

●販売業やレストランなどの店舗展開

さまざまな切り口からの事前のマーケティング調査が重要となり、日本国内での情報収集はもちろん、現地での調査が肝要です。過去にあった事例で、好条件で駅近物件の契約に至ったものの、いざ蓋を開けてみると駅の出口が遠いために人の流れが全くなく、やむなく撤退に追い込まれたといったことがありました。ですから季節や曜日、時間帯ごとに、入念に調査を行い、人の流動性を把握することが成功の秘訣となります。

計画に沿った最良の選択を

それではさらに深く掘り下げてみて、具体的に海外展開を進めていくための主な手段と、そのメリット・デメリットを述べていきましょう。あくまで総論的になりますので、当てはまらない部分も出てくるかとは思いますが、その点はご容赦ください。

① 駐在員事務所を開所すれば、現地にて最新の情報収集が可能な上、そこで勤務する社員の給与は基本的に日本本社が負担するため、管理しやすい。ただし、あくまで準備や調査を行う拠点であり、現地での営業活動ができないなど、活動に制約が多い。

② 支店設立は、本社との同一事業体であるために事務作業が簡略化でき、資金管理も行いやすい。従って、同一事業の拡大の場合には、支店設立は検討しやすいと言える。ただ、海外支店の所得はその国でも税務申告の義務が発生する二重課税状態となり、外国税額控除制度の規定で解消はされるものの、たとえ現地での税率が低い場合も、日本の高い税率が適用されてしまう。

③ 現地法人設立時には、日本本社とは独立した扱いになるため進出国での法人税が適用される。よって、日本本社ではその所得に対する税務申告義務が発生しない。また、得意先や仕入れ先などから海外展開の本気度と信用度が増す傾向があり、新規事業を推進しやすい環境が整備できる。一方で、現地側の出資会社と共同歩調を取る必要があり、その調整が大変な場合も。加えて、進出国の会社法が全面的に適用されるため、制度によっては経営やビジネス遂行上、不利・不自由を被る可能性も出てくる。

以上が、海外展開を行う具体的な方法です。それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、自社の業種や進出国と照らし合わせて考え、最適なプランを見極めてもらえたらと思います。

万全の体制を整える

海外展開を行うことは決して容易ではありません。前号の連載コラムにも記載しましたが、海外展開を決定しても、それを実行していくのには大変な労力が掛かります。そのため、まずは国内における経営基盤の安定化を図ることを前提にし、いつでも動ける体制を早期に整備しておかれることをお勧めします。

ただ一方で、海外在留邦人や日系企業の海外進出数は年々増加しており、多くの企業様が新たな活路を見いだしているのも事実です。その中で、当社もさまざまなクライアント様のコンサルティングに携わり、着実にノウハウを積み上げてきました。ぜひ、皆様の海外展開の夢を私にお聞かせください。その夢を一緒にかなえてまいりましょう。

次回は、「海外展開を進めてきた企業における成功例、上手くいく例」についてご紹介してまいります。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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