一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

岡西佑奈 書と禅語 「千里同風」

「千里同風」


 
経営やビジネスに奮闘される皆様の心に灯をともす“禅語”を書で伝える連載、「書と禅語」。今回は、「千里同風(せんりどうふう)」をご紹介します。

この言葉は四字熟語でもあり、「千里離れた場所でも同じ風が吹いている」、つまりこの場所が平和であれば遠い地も同じように平和である、という意味があります。しかし、禅語の場合は意味が異なり、「言葉を介さなくても心はつながっている」──そうした状態を「千里同風」という言葉で表すのです。

以前、仕事で海外に行った時、私の作品を見てくださった方と、言葉が通じなくても作品について話し合える不思議な瞬間がありました。また、旧友との久しぶりの再会で、お互いの近況を知らないはずなのに、会ってすぐに分かり合えていたことも。皆様にも、一度はそうした経験があるのではないでしょうか。例えば経営者の方であれば、普段はなかなか社員と交流ができなくても、目が行き届くように気を配ったり、見守っていたりすることで、自然と全体の心が一つになるものだと思います。そんなふうに、この言葉は改めて「心で生きること」の大切さを教えてくれるのです。

この作品については、フラットな広がりを持たせるために横書きにしました。それぞれの文字を独立させるのではなく、つながりを意識して書いています。曲線の柔らかさはありつつも、「風」が力強く外に広がっているのは、そのまま輪を描いて「千里」とつながるイメージがあったからです。

特定の人だけではなく、出会う人全てに対して“同風である”という気持ちでいられると、言葉や距離の隔たりは関係なく、相手を思う心は伝わるはず。皆様もぜひ、そんな温かくて優しい心持ちで日々を過ごされてみてはいかがでしょうか。

←写真は、岡西さんの作品づくりにおけるインスピレーションの源である、お気に入りの香りもの。創作時に焚くことが多いお香[左上]、自身で配合したものも含むオーガニックの香水[右上]、アロマオイルと香油[左下]、心をリフレッシュさせる香りのボディスプレー[右下]。自身でアロマテラピーの資格を保有し、日頃から調合した香りを楽しんでいるとのこと。特に植物由来のものにこだわり、五感を研ぎ澄ませている

 

↑「国連ウィメン日本協会」でアーティストとして活躍し、「UN WOMEN」のイベントなどで書の揮毫(きごう)やパフォーマンスを行う岡西さん

 

 

■プロフィール
岡西 佑奈 Okanishi Yuuna
 
幼い頃から、白い紙に滲み広がる墨の黒さ、“モノクローム”の世界に惹かれ、7歳から本格的に書に目覚める。書家・栃木春光に師事し、高校在学中に師範の免許を取得。水墨画においては関澤玉誠に師事する。書家として文字に命を吹き込み、アーティストとして独自のリズム感や心象を表現している。国内外受賞歴も多数。また、「子どもに命の大切さを伝えたい」という思いから、小学校での書道教室をボランティア活動として開催している。
 
■公式サイト
http://okanishi-yuuna.com/
■フェイスブック
https://www.facebook.com/YuunaArt/

 
《個展情報》
岡西佑奈『青曲』
期間:2018年6月29日(金)~7月15日(日)
11:00~19:00(月曜定休)
会場:Whitestone Gallery Tokyo
(新館 Ginza New Gallery)
東京都中央区銀座6-4-16

<< 岡西佑奈 書と禅語 「主人公」岡西佑奈 書と禅語「あるべきよう」 >>

 
 
 

躍進企業応援マガジン最新号

2024年11月号好評販売中!