コラム
様々な人と産業、地域がつながる
社会の問題解決をサポートするオフィス
2017年7月、東京・大手町駅エリアにおいてオフィス移転を行った(株)パソナグループ。当コラムでも、たくさんの植物が育つオフィス「アーバンファーム」を過去に紹介したが、今回の移転先である「JOB HUB SQUARE」は、「地方創生」「インキュベーション」「健康」の3つのキーワードを基に、より幅広い機能を集約した全く新しい形のオフィスとなっている。
1つ目のキーワード「地方創生」に関して、まずは13階にある「大手町牧場」を紹介したい。同社では2003年より農業分野の人材育成を行ってきたが、今回は同じ一次産業である酪農分野に目を向けたという。若い世代の意識が変わりつつある農業に対し、酪農は新規参入のハードルも未だ高く、従事者の減少が続いている。そこで、より多くの人に酪農について知ってもらうため、都心でありながら気軽に動物に触れ合える牧場で食育講座、酪農の人材育成講座などを展開しているのだ。なお、大手町牧場を運営するのは、グループ会社の「丹後王国」。敷地内に観光牧場も有する西日本最大級の道の駅を運営しているノウハウと、地域の酪農家とのつながりを生かし、将来は就農希望者のインターンシップ先まで紹介する予定だ。また、3階には「地方創生ラウンジ」も設けられている。東京に事務所を持たない地方自治体が、東京出張時の活動拠点として利用できるレンタルデスクやミーティングスペースに加え、全国の自治体による地方PR活動の拠点や、UIJターンの相談窓口として活用できる専用ブースも。地方からのアクセスも良い東京駅前という立地を生かし、地方移住や現地での就労支援、暮らしに関する相談などを幅広く受け付けている。その他、1階には「場所」ではなく「人」をきっかけにした旅を提案する新しい形の観光案内所「TRAVEL HUB MIX」、地下1階にはグループ会社である(株)匠創生が運営する、地方の伝統工芸作家の作品を展示・販売する「POPPING STAND」も。こうした様々な観点から、地方産業の可能性を引き出し、人と場所をつなげるサポートに注力しているのだ。
続いて「インキュベーション」に関する取り組みとしては、12階にある「インキュベーションラウンジ」が挙げられる。これは、起業家やフリーランス向けのコワーキングスペース。ビジネスに役立つセミナーや交流会の開催、法務や財務の専門家による相談対応など、起業に関する多様な支援が受けられる。
そして「健康」に関しては、新サービス「@Health+Care」がスタート。従業員がイキイキと、最高のパフォーマンスを発揮して働ける環境を目指し、「健康経営」実践に向けたサービスを提供しているのだ。取り組みの一環として、10階には保健師や管理栄養士によるカウンセリング、生活習慣指導を行うスペースや、スーツのまま短時間で行えるエクササイズ・トレーニングプログラムが提供されるジムスペースが完備している。
ここで取り上げた以外にも、同オフィスにおける取り組みは様々だ。グループ会社に所属する障がいを持つ社員によるアート作品の展示や、工房・ショップの運営など、これまでのオフィスづくりから引き継がれているものも多い。今後も同社では、「社会の問題点を解決する」という根底にある理念をぶらすことなく、数々の工夫が詰まった拠点から、常に新しいチャレンジを続けていくことだろう。
02 「地方創生ラウンジ」には、全国の地方自治体の東京オフィスやUIJターン窓口が集まっている。石川県や兵庫県、福島県、宮城県、岡山市、札幌市など、県や市町村など様々な自治体がブースを構えている
03 “コミュニティ型”観光案内所「TRAVEL HUB MIX」では、観光地を訪れるのではなく「人」に会いに行く、新しい旅行の形を提案している。以前には、震災被災地である東北の名産品を使った料理を会場でつくり、その動画をSNSでライブ配信する試みが行われたことも。全国各地で暮らす人やその試みを紹介することで、人と地方を結び付け、地方活性につなげていく
04 グループ会社である(株)匠創生が手掛ける「POPPING STAND」。全国の工芸品を展示・販売するスペースの他、その品を用いた試飲・試食も行える。工芸品を実際に使用することで、その良さをアピールするとともに、工芸の職人や作家を応援する試みだ
【会社情報】 株式会社 パソナグループ 〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-2 JOB HUB SQUARE 【URL】 http://www.pasonagroup.co.jp/ |
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