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コラム

話題のコト・モノを紹介! PICK UP PROJECT 義仙会

多様な日本文化を楽しく学び
「義仙会」から国際人を目指す

 

日本の文化を知り国際人に

歴史を題材にしたゲームの流行などにより、女性や若い層を中心に戦国武将ブームが広まって久しくなりました。加えて、武士・侍は海外からも高い人気を誇る日本文化。そうした背景から、今や日本各地で武士体験ができるさまざまな教室やワークショップが展開されています。しかし、「単なる装束体験に終わらず武術体験もしてみたい!でも、本格的な稽古を受けるのは敷居が高い・・・」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、東京都内で日本刀の斬り体験をはじめ、日本文化・武道に関する多様な体験会を行う、「義仙会」の会長・長塚正晃さんにお話を伺いました。
 
「この会の活動には大きく2つの目的があります。1つは、受講者の方が日本人として母国の伝統武術を学ぶことで、国際人になって頂くこと。そしてもう1つは、日本の文化に触れて和の心得を知り、楽しく豊かな人生を過ごして頂くことです。よく、国際交流の場で海外の方は母国の歌や踊りを披露できるのに、日本人は日本の伝統文化を何もアピールできない、という話があるでしょう。それではあまりに寂しいですから、伝統的な技芸のほんの一部だけでも身に付けてみてはいかがですか?というご提案をしているのです」

武術・技芸をまんべんなく学べる場

「義仙会」の大きな特長は、日本の伝統文化をとても幅広く学べること。長塚さんの人脈を生かして集められた著名な先生方の下、居合道はもちろん、茶道、着付け、火縄銃など、さまざまなプログラムが受講できるのです。一般的には学ぶ内容ごとに教室が独立しているものですが、長塚さんがこうした形を取っているのには、自身の経験に裏打ちされた思いがあります。
 
「私が武道を始めたのは、38歳の時でした。スポーツ自体は若い頃からいろいろなジャンルに打ち込んできましたが、会社に勤める傍ら、何か新しいことをやってみたくなり、和のものに挑戦してみようと。それからは、刀、柔術、詩吟、流鏑馬・・・一つひとつ学んできました。ただ、それぞれに先生がいらっしゃいますから、やりたいこと全てを学ぼうとすると、膨大な時間と授業料が掛かったのです。若手の給料では幅広く学ぶことは厳しいでしょうし、1つに打ち込むにしても、仕事帰りや休日の時間だけではなかなか技が身に付かないでしょう。私自身がサラリーマンだったこともあり、そんなふうに感じたのです」
 
そこで長塚さんは、自身が学んできた武術や技芸を、特に若い層に向けて伝えていこうと、2007年に「義仙会」を立ち上げました。1つの教室に通うのと同程度の価格でいろいろなことを学べて、しかも気軽に楽しく通える場をつくりたい。そうした思いから、和気あいあいとした雰囲気の稽古を心掛け、教え方も工夫をしています。
 
「日本の伝統武術は通常、教えないことが良しとされます。弟子たちには『見て覚えろ』というスタンスですね。しかし、その上で、秘伝の技を簡単には『見せない』。武士たちは、自分より強い人間をつくれば自分が殺されてしまう危険性があるので、技を他者に絶対に教えなかったそうですが、そのやり方が今でも残っているわけです。だから武術を学ぶ人は、修行を積みながら自力で技を見つけ、習得していくしかありません。
 
しかし、それでは時間だけでなく労力も必要となってしまいます。そこで『義仙会』では、限られた時間でも上達してもらえるよう、何十年も掛けてやっと分かるような秘伝のポイントを伝授しています。もちろん、教わってもすぐに習得できるものではないのですが、やはり皆さん、コツを覚えるのは早いですね。そして、日本の武術・技芸は山ほどありますから、少しでも早く一芸をある程度まで身に付けたら、できるだけたくさんの技芸を体験し、それぞれを国際交流の場で見せられるくらいには、できるようになってもらいたいのです」

武士を現代に具現化する試み

そんな長塚さん自身も、もっといろいろなことに挑戦してみたいのだそうです。三味線や鼓も学ばれていたそうですが、今よりももっと和楽器の演奏ができるようになりたい、と話してくださいました。

「私は一道主義ではなくて、要は飽きっぽいんですよ。1つのことだけに注力するつもりはなく、ある程度のレベルに到達したら、他も学びたくなるんです。戦国時代や江戸時代の武士は、いろいろなことを嗜んでいました。武術だけではなくて、お茶も詩吟も絵画も、全ての日本伝統技芸は横でつながっています。また、合戦で勝った後には国を統治しなければならないわけですから、都市計画や経済まで、何でも学んだはずです。そして、いつでも心にゆとりや豊かさを忘れず、人との交流を重んじ、お酒だって楽しんだことでしょう。そうして幅広く学ぶことで、日本文化そのものへの理解も深まるもの。何より私は、そんなかつての武士の姿を具現化することを目指しているのです」

「義」を重んじる武士道を

最後に、「長塚さんにとっての『武士道』とは?」という問いを投げかけると、終始笑顔でお話ししてくださった長塚さんの人柄そのものを表すような、温かい答えが返ってきました。
 
「心を広く持ち、何事にも真剣に向かい合い、人のことを考えていくこと。この会があえて、『武仙』ではなく『義仙』という言葉を選んでいるのには、そういった理由があります。『義』を持って相手に接することこそ、武士として一番大切にすべきことではないでしょうか。そして、世界中の皆さんがそういった情のある心で日々をお過ごしになられたら、世の中も丸く収まるのではないかなと思っています。それが、私の考える武士道です」
 
楽しく気軽に日本文化に触れながら、武士の本質や精神を学ぶことができる、そんな素晴らしい機会が、「義仙会」でなら得られるはず。皆さんもぜひ、長塚さんをはじめとする先生方の貴重な教えを受けながら、和の心を持ち、人生を豊かに彩ってみてはいかがでしょう。
 

▲ 東京都内で行われる、「義仙会」の長塚さんによる日本刀を用いた斬り体験。畳表を巻いて水に浸けたものを斜めに斬る、袈裟斬りと呼ばれる斬り方の稽古で、参加者は刀の持ち方から刃筋を整えるコツまで、丁寧な指導を受けられる。写真は、2017年9月に行われた体験会の様子。20代を中心とした参加者が集い、中には女性の姿も。講師の先生方や長塚さんが、一人ひとりの斬り方を間近で見て、それに応じたアドバイスをしてくれるため、参加者の上達スピードは非常に早い。なお、袴などの服はレンタルが可能なので、参加者は武士さながらの格好で体験に参加し、没頭できるのも嬉しい

 
 

■プロフィール
義仙会
会長
長塚 正晃 MASAAKI NAGATSUKA
【URL】
BLOG http://gisenkai-jp.blogspot.jp/
Facebook https://www.facebook.com/pg/gisenkai/

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