コラム
驚きの連続でパフォーマンス性を向上
DMM.comのクリエイティブな空間
グループ企業も含めた社員数の増加に伴い、(同)DMM.comは2017年3月、約15年本社を構えていた恵比寿を離れ、六本木一丁目駅直結のオフィスビルに移転した。23~27階の5フロアを占有するオフィスのデザイン・設計に携わったのは、2016年にお台場で開催されたイベントでタッグを組んだ「ウルトラテクノロジスト集団」チームラボ(株)。「森」をコンセプトに、リアルとデジタルを織り交ぜた、今までにないクリエイティブなオフィスとなっている。
まず、24階のシンプルな入り口を抜けると、植物が生い茂り滝の流れる緑いっぱいの総合受付がある。256種類もある植物は全て本物で、一方の滝は液晶フィルムに映し出されたデジタルアート。人が近づくとセンサーが反応して流れが変わるという工夫が凝らされ、スタンディング式でも待ち時間を飽きさせない。また受付はカウンターを設けず、インカムを付けたスタッフがタブレット端末を片手に案内してくれるため、混雑する時間帯でもスムーズに対応してもらえるのだ。
受付の右手には来客用会議室エリアが広がる。照明の落とされた廊下のフラットな壁には、プロジェクションマッピングで映し出された花をまとうカラフルな動物たちが闊歩する姿が。広さや内装がさまざまな25の部屋と1つのスタンディングスペースには、それぞれA~Zのアルファベットを冠した動物の名前が付けられ、予約した部屋の動物が入り口から部屋まで案内してくれる。本物の植物に囲まれ、デジタルの動物たちの鳴き声が聞こえる空間を歩くと、まるでアミューズメントパークにいるようで、オフィスであることを忘れさせる。
受付の反対側には、来客用としても使える社内用のミーティングエリアがあり、社内のシステムで予約が可能。木の素材が取り入れられ、カフェのようにゆったりしたオープンスペースや、ガラス張りの個室があり、開放的な空間となっている。その先に広がるのは予約不要のフリースペースで、植物が随所にあしらわれた社員たちの人気スポットだという。作業や休憩、社内での打ち合わせの他、400人以上を収容できるイベントスペースとしても利用可能だ。
27階の執務エリアでは500人ほどが働くが、デスクは1台しかない。というのも、チームラボが手掛けた1kmにも及ぶ「波打つデスク」が、一見分かれているようで、実はカーブを描きながら全てつながっているのだ。仕事に集中できるよう、働いている時の目線は合わない設計だが、あえて回り道をさせる動線によって、他の事業部の社員ともコミュニケーションが取れる構造となっている。社内の雰囲気に活気を与えるだけでなく、45以上の事業部を持つ同社内で、取引先などの情報を共有しやすくなり、仕事の効率化が実現されているのである。
こうして来客用・社内用共にオフィスに遊び心を凝らしているのは、高いパフォーマンス性を発揮するためだという。オフィスから刺激を受けて、営業職やエンジニアの社員も自然とクリエイティブな発想ができるようになり、顧客もクリエイティブな案を出すようになる。また、こだわりの空間で仕事をしているという自負はモチベーションにもつながり、初対面の顧客とも会話のきっかけが生まれ、緊張をほぐした状態で打ち合わせに臨めるだろう。皆のクリエイティビティーを引き出すオフィスだからこそ、多様な事業が生み出されているのだ。
01 百獣の王・ライオンの会議室は、会長・社長クラスの打ち合わせに使われる特別仕様。茶室のようなにじり口から入ると、中は畳敷きで掘りごたつの個室で、窓から植物と高層ビルが覗く不思議な空間である
02 来客用としても使える予約制の打ち合わせスペースは、落ち着いたカフェのようなつくりとなっている。テーブルごとに配された椅子と、頭上にある木製のシャンデリアのデザインがさまざまなのもユニークだ
03, 04 社内の打ち合わせに使われる予約不要のフリースペース。400人は優に収容でき、モニターと音響機器も用意されているため、記者会見やセミナー、パーティーなど社内外のイベントにうってつけ。大きなビーズクッションがいくつも並ぶ奥のスペースは、背中を預けて作業や休憩をしたりと、社員から人気のスポットなのだとか
【会社情報】 合同会社 DMM.com 〒106-6224 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー24F 【URL】 https://dmm-corp.com/ |