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コラム

コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第5回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いといったさまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は、「海外展開を進めていく上での方法」についてご紹介しました。今回は、「海外展開を進めてきた企業の成功例」と題し、実際に順調に海外展開を進めていった企業の共通点をお教えします。
 

共通する成功パターン

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANY TANK」2018年3月号、そして2018年5月から連載中である本コラムには、すでに目を通して頂けましたか?

第5回にあたる今号では、「海外展開を進めてきた企業の成功例」という内容にフォーカスを当ててお話しします。

当社は海外進出を目指す企業様のサポートを手掛けています。契約したクライアント様からはもちろんのこと、契約前の段階からも、「どうやったら海外進出が上手くいくのか?」「これまでの成功事例や、成功の秘訣を教えてください」といったお問い合わせを数多く頂きます。

そこで今回は、成功するための主な要因についてご説明します。業界や業種、企業規模など、それぞれの企業様で状況や条件は当然異なりますので、その点だけはあらかじめご承知頂ければと思います。

1.会社全体としての面

① 業績が安定、あるいは伸びている状態である。
② 会社として海外進出を果たす明確な目的、具体的な目標を持っている。
③ 3年先を見据えた海外展開ビジネスでの“開花予想”を考えている。
④ 人や時間、資金に対する5年を目処にした投資計画を立てた。
⑤ どのような事態が起きても、途中で挫折しない計画と位置付けを行っている。

2.経営者としての面

① 自ら鉛筆を手に取り、海外展開の未来予想図(海外展開について、誰が、いつ、どこで、なぜ、どうやって、何をしたいのか)のプランを何度も練り直した。
② 海外関連のミーティングに意欲的な姿勢で出席している。またミーティングの際には議事録を作成させ、随時レビューを行い、大筋や方向性を貫いている。
③ 海外展開を行うにあたり、明確な目的と、具体的な目標を設定した。
④ 役員、スタッフに対し情報共有を行った上で、大勢から賛同を得られた。
⑤ 海外展開を担うスタッフ選抜を行った。

3.役員、スタッフとしての面

① 現地である程度コミュニケーションが取れるレベルの英語スキルを習得している。加えて進出国言語を使えるとなお良い。
② 海外で展開したい内容についての専門知識や、経験がある(例:市場開拓の進め方を知っている、商品知識を持つ、自社業界や同業他社を熟知しているなど)。
③ 社内はもちろん、社外、海外など、あらゆる場面における対人コミュニケーションスキルに不安がない。
④ ネガティブなことが起きても平常心を保てる、または表面上でも装える。
⑤ 約束、時間を守り、先を見据えた行動をしながらも、足下を見ることができる。
⑥ 受け取ったメールには必ず返信し、「報・連・相」が備わっているなど、ビジネスパーソンとしての一定のスキルを持つ。

4.商品面

① 自社商品や自社取り扱い商品について熟知している。
② 他にはない優位性を持ち、同業他社や類似品と比較した際の良い面と劣る面を正確に理解している。
③ 適材適所の商品ラインアップ、あるいは必要に応じた商品の修正、変更が容易にできる体制が整っている。

いかがでしょうか?海外展開をうまく進めてこられている企業様、成功に導かれている企業様の多くに共通している事柄を列挙してみました。もちろん、上記の項目を全てクリアするのは不可能に近いと思います。自社ではできないことや、やりきれないこと、知らないこと──。それらは、当社のような会社と共に補足しながら、一緒に進めていくのが最善でしょう。

地盤を固め、躍動の一年に

さて、上記の項目をご覧になられて何か感じることはございませんか?若干の不整合はあるかもしれませんが、“海外展開”を“国内展開”という言葉に置き換えられるのです。

私が今回、一番強く申し上げたいのは、「海外に事業や工場、販路を展開するのと、国内展開は基本的に同じ」ということです。もう少し正確に申し上げると、国内展開の延長線上に海外展開もある。従って、国内の事業展開をうまく進められている企業様は、海外展開についても同様の可能性が高いと思います。これまで国内で数多くのクライアント様とお付き合いをさせて頂いている当社としては、この点は確信を持って申し上げられることなのです。

日本国内はこれからますます人口が減少し続け、製造業でも販売業でも、今後の順調な売上拡大は見込めなくなってきています。加えて、すでにいくつかの業界・業種では労働者数が不足し、海外から人材を求めているのが現状です。また、日本の高品質な商品についても、今までのように“日本ブランド”、あるいは“MADE IN JAPAN”だけでは、良好な販売ができる時代ではなくなってしまいました。

2019年以降は日本から海外へ、海外から日本への動きが、さらに加速することは間違いのないところです。その中で、皆様の会社が今後10年先、20年先でも繁栄し続けられるよう、私共もご協力させて頂くことを惜しみません。

本コラムは、読者の皆様が新年1月にお読みになられると思います。2019年は2018年に踏み出せなかった海外展開の第一歩を、一緒に挑戦してみませんか?

今回は、海外展開における具体的な成功要因を中心に話を進めてきました。次号では、反対に失敗例を中心にご紹介します。

最後に、本年も皆様の会社にとって良い一年となりますことを祈念しております。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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